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デオキシリボブレイク~神と天才の殺し合い~  作者: 熊太郎助
三国軍事演習編
62/70

論立たず



 密室に集まる帝国、王国、法王国の代表3人。

 それぞれがそれぞれの目的をもち互いに妥協できる落とし所を模索する。

 ハレファス、ルキウス、エリーの3人は話を始めていた。


 「2人ともお若いのに立派ですこと。

 なんだか私だけ浮いてしまいますわね。」

 「そんなことありませんよ。」

 「そうですよ。ハレファス様はともかくとして、私は国の代表としてこのような場に出ること自体初めてなので。

 浮いているのは私でしょう。」


 全員歪な立場であり、特にエリーからの嫌味に耐えなければならないのか。面倒だな。

 彼女からすれば国の代表が帝国は外務大臣といえど両方若蔵。

 法王国が舐められていると不快に思われても仕方ない。

 その態度を感じて、僕もルキウスもきっといい気持ちはしないだろう。

 

 「ああ、本当に私も若返られることなら若返りたい。この場には聖女様に代表としてきてもらい私はお目付け役くらいが妥当だったんじゃないかと文句でも言おうかしら。」

 「エリー様だからこそ大切な三国を取り持つ人間に選ばれたのではないですか?

 私は皇帝陛下が私を選んだことを誇りに思っております。」

 「本当に立派ですね。私が若い頃なんて」


 さっきから自分の若い頃の話しかしてないエリーに少々呆れる。

 こいつ、自分がなんでここにいるかわかっているのか?

 会談の時間だって無限じゃないんだ。

 このまま感情に浸るばかりでは打ち合わせが進まない。

 軌道修正しなくては。多少強引でも。


 「そういえばハレファス様は」

 「えっと、この後の式典ですが〜」


 強引に話を戻したことで少し嫌な印象を持たせてしまっただろう。

 エリーはそれを表情に出すことは無くなったが話を途中で遮ったり言葉の節々に棘を感じる瞬間はあった。

 たっぷりと時間があるなら僕もこんなことしないが今日のスケジュールはタイトなんだ。

 婆婆の懐古話に花を咲かされても。

 ルキウスは話が元に戻ったことに感謝しているようだ。

 さっきまでのより発言も増えて、表情も冷めていたところから温かさを取り戻している。

 そうだよな、さっきのままだと打ち合わせないままぶっつけ本番だってありえたんだ。

 表情が凍るのもわかる。この婆婆、ルキウスに恥をかかせたいのか?

 

 「式典の打ち合わせはこれくらいにして、3ヶ国合同軍事演習についての打ち合わせに入りましょうか。」


 来年の軍事演習について説明を行いつつ、今年度の軍事演習との違いを明確にしながら簡潔に伝えていく。

 丁寧な細部まで話す時間はまた別に取る。

 ここでもエリーの表情は柔らかくなかった。

 彼女は信頼関係を築いてから政治話をしたいタイプだと思う。

 それが悪いこととは言わないが。

 今日は彼女にとって納得いかないことが多いことだろう。

 そんな感情は抑えて欲しいものだが。


 ***


 ハレファスと別れてから数分経ったろうか。

 俺、ハヴァレアは非常に焦っている。

 彼と別れてから自分がどこにいるのかよくわからないのだ。

 この建物は広くて構造を理解してない俺からすれば迷路みたいなもの。

 さっきまではハレファスの後ろをひょいひょいついていけばよかったのだが、まあ正確に言うと外務大臣おつきのボディーガードだ。

 んでそいつらと離れてから俺は、何をしているかわからないのだ。

 ありていにいえば道に迷ったのだ。


 「あの、ゾクド王国の人の待機場所ってどこっすかね?」

 

 ミルキーブロンド色の髪型はボブのチビ女を見つけたので声をかけてみる。

 誰かは知らないがきっと教えてくれるだろう。

 キリッとした目つきに引き攣った表情で俺を見つめてくる。

 なんなんだ。初対面の相手に露骨にそんな態度とるってどうなんだよ。


 「モニカちゃん!

 ルイーザちゃんは見つかった?」

 「いやお姉ちゃんは見つかってないけど」

 「あら、その方は?」


 ボブのチビを見つけて茶髪のポニーテールのチビが増えた。

 モニカとかいうのかあのチビボブ女。

 

 「知らない人。なんか急に話しかけてきて気持ち悪い。」

 「気持ち悪いって………!」


 こいつ、俺のこと舐めてんのか?

 クソチビバカ女は教育してやんねぇとだめなのか?

 いや、抑えろ。今この場で暴れたら俺を信じて送り出してくれたハレファスに顔向けできねえ。

 それにあいつに鼻で笑われるかとしれねえ。

 

 「モニカちゃん。失礼だよ。」

 「大丈夫だ。いきなり声掛けて悪かったな。すまん。」

 「アンジェ、もう行こ。」

 「そう言うわけにも」

 「あの、ゾクド王国の人ってどこにいるかわかるっすかね?」


 話しの通じそうなポニテチビに尋ねる。

 彼女は俺を見上げるようにのけぞると後ろに倒れた。

 何やってんだよ。


 「帝国の人?」

 「え、ああ。そうだぜ。」

 「長身だ。ロドルファ君より高いよね。モニカちゃん。」

 「ロドルファ君の身長なんて知らないよ。」


 まあハレファスほどじゃないが俺も背は高いと思う。

 あいつは190近くあるが俺は188。

 そういやこいつら服装的にメリーバの人間か?

 メリーバの人間っていや、俺の中ではルクシーの野郎なんだが、あいつは173くらいだったな。

 あいつを平均と考えるなら俺とかハレファスはデケェ方か。


 「えっと。私はアンジェラ・ロンバルドって言います。王国の方の元へ行きたいんですよね。」

 「ハヴァレア…です。そうです。」

 「モニカちゃん、この人案内してくるね。」

 「はっ? お姉ちゃん探しにきたんじゃないの?」

 「でもこの人も困ってるみたいだし。」

 「はぁ、知らない人に優しすぎなんだよ。アンジェも………。」

 「それでついてくるの?」

 「ついていきますよ。」

 

 嫌々ついていきますということか。

 そんな態度するならついてこなくてもいいのにと思う。

 そんなことを思いながらモニカを眺めていると怪獣みたいな眼光で俺を睨みつけてきやがった。

 俺が何したってんだよ。

 お前とあってそんか気に触ることしたか?

 まったく、こんなんで本当に同盟なんて築けるのか?

 俺はこんな敵対心剥き出しの奴とうまくやっていける自信はないぞ。

 

 「ハヴァレアさん、ここです。」

 「ねぇ、アンジェ。中からお姉ちゃんの声がする気が。」


 何言ってんだ。完全防音室だぞ。

 こいつ幻聴でも聞こえてんじゃないのか?


 「すいません。」


 扉をノックして待っていると中から向日葵色の髪の男が出てきた。

 俺も見上げるように一歩引いた。


 「ハレファスが会談している間暇だし話しでもしないか?

 俺はカシミ=エルニワトン帝国公爵家三男、ハヴァレア・グン・ゴーシュラフだ。よろしく。」


 自己紹介すると空気が凍る。

 名前が名前だしな。まあ名乗らないと怪しいやつになるし。ハレファスにも名乗るか名乗らないかなら名乗ったほうがいいって言われてるしな。


 「え、、よろしくお願い致します。」

 「お姉ちゃん!!!」


 俺の脇を通りすぎるようにモニカが走り抜けていく。

 室内に飛び込んでいくとモニカと似た顔、同じ髪色の女の元へと駆け寄っていく。

 がっしり両手を掴むと掴まれた女は少し目線を逸らしている。

 

 「探したんだよ?

 なんでこんなところにいるの?」

 「えーと。」


 モニカの質問に女は歯切れの悪い返事しかしない。

 その様子を見ていた別のピンクの髪の女がモニカの肩を叩いた。

 思いっきりぶっとばしたりはしないよな。

 俺の不安は的中はしなかった。そりゃそうか。


 「ルイーザ様の妹さん?

 彼女は聖女様として私たちゾクド王国の人間と交流をしにきてくれただけですよ。」


 初対面だがあの女はなかなかいいな。

 どんな人間かは知らないが第一印象はテラスシーナ様に近い。

 美しくて気品がある。力強さがあるのは彼女らしさか。

 彼女は俺の方へ目線をやるとつかつかと歩み寄ってくる。


 「初めまして。私ヒルデ・フェテラエルっていうの。よろしくね。」

 「こちらこそ。よろしく。」


 差し出された手を握る。帝国の女とは違う良さがあるな。

 ゾクド民族ってのは凛々しい人が多いのか?

 それとも彼女が特別なのか。


 「お姉ちゃん。どうして私に何も言わないでどっか行っちゃうの。」

 「いやだって、エリーさんから許可は出てるし。」

 「大司教様から?

 なら、まあ、わかった。」

 「ルイーザちゃんもモニカちゃんも。お互い見つかったってことでよかったじゃん。

 心配した気持ちはわかってよ。」

 「うん。これからは伝えてから行くね。」

 「そーじゃなくて………。むー!!」


 話を聞いているに妹は聖女様には1人でほっつき歩いて欲しくないんだろうな。

 それはわかる。ハレファスを見ているとなお。

 彼もかなり単独行動を取りたがるらしく、ボディガードがよく探しているのを見るし。

 重鎮に振り回される下の人間の気持ちも考えてほしいよな。


 「とにかく。みんな心配してるし戻るよ!」

 「まだヒルデさんやミロさんとお話ししたいことが」

 「そんなこと言ったって」

 

 姉妹で随分系統が違うな。

 フワフワしていてどこか危なっかしい姉。

 対照的に常に隙がなく警戒心の強い妹。

 正反対の2人の言い争いをここでするのは。


 「なあ、まだ会談は続くってハレファスも言ってたしさ。時間はあるぜ?

 ちょっとくらい許してやったらどうだ?」

 「お前は話しかけてくんな。

 ねぇお姉ちゃんは聖女として自覚を持ってよ。

 なんのためにあんなに苦しい思いにも耐えて聖女になったかわかってるの?」

 「でもさ、ハヴァレイ?さんも言ってるし時間はあるし。」

 「他の人は心配してるんだよ!」


 妹野郎……、、。

 お前とか初対面で言うやつ、、、俺も言ってたっけか。

 それと姉さんよぉ。俺の名前はハヴァレイじゃなくてハヴァレアだ。

 姉妹揃って失礼なやつだ。ふざけてんのか?

 俺は父が帝国の軍事府をもつ家の三男だぞ?

 

 「他のみんなには私からルイーザちゃん見つかったよって伝えておくよ?

 だからルイーザちゃんの意思を尊重してあげようよモニカちゃん。」

 「アンジェちゃん!! 

 ありがとう!!」

 「ちょっと、………わかった。わかったよ。」


 2人の話は平行線になりそうだった。

 そこに間に入って取り持つアンジェラ。

 なんだか初めて見た人たちだが、普段からこんな感じなんだなってのが見て取れる。

 彼女たちに外国は早かったんじゃねぇか?


 アンジェラが部屋をでてメリーバの人間のところに向かうのを見送るとミロが俺に話しかけてきた。

 

 「して君はなんの用でここに?

 彼女たちと関わりのある人間じゃないようだし。」

 「俺も王国とかそーゆー他の人と話したいなって思ってさ。

 ハレファスが王国の代表は同年代だったって言ってたし気になるだろ?」

 「そんなことかよ。」

 「そんなことってなんだよ。」

 「そのままの意味だよ。

 君は僕たちと交流を深めようとしてるのかもしれないけど僕たちとは立場が違う。

 ハレファス外務大臣ならいざ知らず。どこの家の三男だったか?

 そんな人間と話し合う義理はないんだよね。」

 「なんだとぉ………」


 チビ野郎。俺のこと馬鹿にしてんのか?

 ゴーシュラフ家を知らねぇのか?

 

 「もちろんゴーシュラフ家は知ってるさ。だが、君が例えその家の人間でも僕たちには関係ない。

 自国でどれだけ偉いのか知らないけど今の君はステージにいないんだよ。」

 「はぁ?

 お前、ここがどこかわかってのか?

 帝国国内だぞ? お前らの地位とかなんとか知らねぇけど調子こいてんなよ?」

 「これだから力に物言わせるだけの奴は。

 殴るのか?

 そんなことすれば誰に皺寄せがいくかわかるよね?

 脳なし深爪ポンコツ(とり)くん。」

 

 さっきからなんなんだよ。

 暴力はよくねぇ。何があってもコケにされようと手は出さない。

 こいつの態度は気に食わねぇがここで俺が暴れたってハレファスに呆れられるだけ。それくらいの分別はつくんだ。

 あいつに、俺が迷惑をかけるだと?

 ふざけんな。迷惑かけられることはあれど俺からかけるわけねぇ。

 あいつに借りを作ったら後が怖ぇよ。


 「帝国ではな、チビは態度がでかいって言うが。

 この様子だと王国も同様らしいな。」

 「背だけの君からは不遜な態度をとって何が悪い。」


 自覚があるならなお質が悪いぜ。

 後ろでヒルデがミロを制止している。

 なんでこんなに俺に突っかかってくるんだよ。

 俺があいつの癪に障るようなことしたか?

 かってに突っかかってきやがって。


 「ミロ、あんま突っかかるのは違うと思うよ。」

 「はっ。仲良くするのか?

 僕は退出させてもらう。」


 ヒルデの制止を振り切る。

 わざわざ俺にぶつかってドアの前だ止まる。

 ドアノブに手を触れたところで止まる。


 「今度直々に叩き潰せるのが楽しみだよ。

 ポンコツの三男くん。」

 「そっくりそのまま返してやるぜ。

 チビ助。」


 勢いよく扉を閉めていくと大きく足音を立てながら出ていった。

 なんなんだよあいつ。頭おかしいんじゃねぇのか?

 ハレファスの野郎になんて言うか。

 喧嘩はしてねぇけど口喧嘩にはなったって言うか?

 そんな思案していると部屋の空気が重いことに気づく。

 聖女様は妹さんの後ろに隠れて妹は俺を睨みつけている。

 その重い空気を破るように声を発したのはヒルデだ。


 「本当にすみません。理不尽に突っかかって間違いなくミロが悪いと思います。」

 「お、おう。」

 「お姉ちゃん、戻る?」

 「い、いや。大丈夫。」


 そうは見えねえけど。

 姉さんが完全に俺に萎縮してる。

 女をビビらせて、ハレファスになんて言うんだよガチで。


 「そうだ!

 私とルイーザさん。ハヴァレアさんとモニカさんで話すってのはどう?

 これならお互い知らない人と話せるし!」

 「「はぁ!!」」


 ヒルデの提案は至極シンプルで、俺とモニカを驚愕させるのには十分なものだった。

 いや、もちろん俺と姉さんが話すのはねぇなって思うけどよ。

 俺とモニカは、、、結構きつくね?

 だがその提案を受けなきゃ俺としちゃあ部屋を出る以外選択肢がねぇんだよな。

 モニカの表情を伺う。

 蛇が獲物を睨む目じゃない。人が人に向ける嫌悪の目だ。

 俺も大して変わんないだろうけど。


 「まあ、俺はそれでもいい。」

 「それでもってなに?

 私じゃ不満? 私だってヒルデさんと話したいんだけど。」

 「そんなこと直接言う必要あるか!?」

 「なに? 今拒絶されてショック受けてんの?

 キッモ、男キッモ!!!」


 未震いがするかのように両腕をクロスさせながら距離を取ってから。

 くそ、どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって。

 多少暇でも部屋で待ってた方がマシだと思えてきた。

 いや、でも戻り方わかんねぇんだよな。

 あの時、アンジェラたちと遭遇したことで一安心してあんまり深く考えずについていき、結局2人と会った場所への経路も覚えてねぇし。


 「文句言うなよ。よろしくな。」

 「は、よろしく。」


 差し出した手のひらを手の甲で弾かれる。

 その間も表情は変わらず鋭い。

 まるで自分はまったく油断もしないのだとでも言うかのようだ。

 そんな警戒しなくても食べたり襲ったりしねぇよ。

 男をなんだと思ってんだよ。

 よっぽど頭がおかしい場合じゃなきゃ公然と襲ったりしない。

 俺は裏でも襲わないし。


 「モニカって呼んでいいか?」

 「嫌よ」

 「即答かよ………。じゃあなんて呼べばいいんだよ。」

 「そんなこと私に聞かないでくれない?」

 「無茶言うぜ。」

 「あんたの呼び名は困らなそうな、ポンコツ男。」

 「舐めてんのか?」

 「まさか。見下してんのよ。」


 こちらからなんとか話しかけるがこんなにも突っかかってくるなんて。

 ツンケンすんなよな。俺だって女の子にそんな態度ずっと取られると傷つくぞ。

 彼女にとっては何気ない一言が俺のハートをぶち抜いていく。

 我慢って毒だな。心が蝕まれていくのを感じる。


 「そんな態度ばっかりとってたらモテないぜ?」

 「別にモテなくていいし。」

 

 顔を合わせてもくれないか。

 睨まれている方がまだ相手にされている感があったのか。たく、なんで俺はこんな奴の話し相手をしてるんだ。

 まじでムカついてきたぜ。


 「男なんて女より力が強いからって偉そうなのよ。

 あんただってそうよ。私たちのこと馬鹿にしてるのはあんたの方でしょ?

 今だってどうせ心の中ではやましいこと考えてんでしょ。穢らわしい。」

 「やましいことなんか考えてないやい!」


 くっそ。まじでぶん殴ってやりテェ。

 アリシアと同程度かそれ以上にムカつく野郎だぜ。

 ルイーザとヒルデの2人の会話は盛り上がっているようだがこちらは険悪。

 他国のやつは帝国にそんな嫌悪感でもあんのか?

 じゃねぇと説明つかねぇくらい嫌悪されてんだが。

 ゾクドもメリーバも嫌いだ。なんで俺に突っかかってくんだよ。

 

 「モニカは歳いくつだよ。」

 「キッモ、年下好き?

 本当にキモいんですけど。」

 「はぁ? 年齢聞いただけじゃねぇかよ!

 そこまで言う意味ってなんだよ。」

 「うわーキモい。声荒がるところ無理キモい死ね。」

 「あー悪かったよ。声荒げて。悪かった。」

 「なに? 私が悪いみたいな謝罪の仕方やめてくれない?」

 

 どれだけ突っかかってくんだよ。

 ミロもモニカも。まともに俺と話してくれる奴がいねぇのか外国には。

 はぁ、ハレファス。俺手出してぇよ。グーで助走つけながら発生しながらぶん殴りテェよ。

 絶対問題になるけどよ。

 いいかな? 揉み消してくれねぇかな。


 「そんなつもりないって。本当に申し訳ねぇと思ってる。」

 「フンっ、どうだか?」

 「んで、年齢は?

 それくらい教えてくれてもいいだろ?」

 「15………。満足した?」

 「2個下か。ああ、満足したよ。」

 「やっぱり年下好き、キッモ!!!!」

 「思考の飛躍しすぎだよ。」

 「飛躍とかバカのくせに使うなよ。」

 「バカじゃねぇし。てかバカでも飛躍くらい使わせろや。」


 「今戻った。」


 部屋の扉を開くと青い髪の男と俺のよく知ってる顔があった。

 2人が部屋に入ってくる。

 ヒルデは青いやつに、俺は白い髪の男に視線が自然と吸い付けられる。


 「ハヴァレア、とりあえず打ち合わせは済んだよ。

 君もまだいるだろうと思ったし寄ってみたんだ。

 戻ろうか。」

 「おう。」

 「それじゃあみなさん。僕たちはこれで。

 失礼します。」

 「じゃあな。ヒルデ、ルイーザ、モニカ。」

 「ええ、また今度。」

 「………」

 「フンっ!」



 ***


 部屋に戻る途中、ハヴァレアが彼女たちとどんな話をしたか聞いたがなかなか酷いものだった。

 一体、何もどうすればそんな訳のわからないイチャモンをつけられるんだと本人は怒り浸透。

 僕もそれと同じことを昔お前にされてたんだが。


 「ほんっとうに手が出る寸前だったぜ。

 ハレファス、てめぇ話つけんのが遅せぇ。」

 「はは、そりゃ申し訳ない。」

 「がちで軍事演習では覚えてろよ。

 絶対ミロの野郎もモニカの野郎も蹴散らしてやらぁ。」


 どんなやり取りがあったかは後でヴァルターにでも聞こう。

 あいつのことだ、僕のいない間に何が起きていたか詳細に教えてくれるだろう。

 とはいえ、このまますぐに式典場まで移動だ。

 ハヴァレアもかっこいいとこ見せなきゃだって思ってるだろうし。

 これで少しは大人になってればいいんだが。

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