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デオキシリボブレイク~神と天才の殺し合い~  作者: 熊太郎助
三国軍事演習編
61/70

初めてのことなので



 ゾクド王国とカシミ=エルニワトン帝国が軍事協定を結んでから四年。あれから勇者召喚の実験を幾度と行ってきたがいまだに成功はなく、対するメリーバ神聖法王国は聖女の育成に成功していた。

 

 三国の勇者召喚までの約束の期限を一年すぎており、メリーバ神聖法王国は二国に成功をせがむ。

 しかしそれに意味はなく大国間の信頼に摩擦を生み出すだけだった。


 そんな中カシミ=エルニワトン帝国の外務大臣の提案で三国の親交を深めるべく、帝国の学園で行われている軍事演習にゾクド王国とメリーバ神聖法王国の学生を使わせ、共に演習するということとなった。

 今回の軍事演習には実践的な要素は薄く、狙いは魔国の脅威に対抗姿勢を強く周辺諸国に見せること。

 連携強化を行いながら人類の結束をより硬いものにするために執り行われる。


 「ワイトラー公。よくゾクドとメリーバを説得してくれたよ。我々として勇者召喚に難航している以上別の魔王討伐案を立てなきゃならない。

 交流の場ができてホッとした。このまま同盟解散になるところだったからね。」

 「取り敢えず急場凌ぎにはなるかと。」


 五大公爵はアルギリン家が没落し、ドラグボルグ公が正式に宰相になりニ枠あいていた。

 新たにストランド家、ゲラシモフ家が五公入りした。

 

 「このフリチョフ・ストランドも同じ外務大臣として嬉しく思うよ。」

 

 ゴーシュラフやロドリホフ、ワイトラー家のような旧五大公爵ほどの権力はなくともこれからの帝国を担う人間。

 ストランド家はゴーシュラフ家と同じ純血派。

 ゲラシモフ家はワイトラー家やドラグボルグ家と同じ新体制派。必然的にロドリホフ家の所属する伝統派が弱体化する体制となった。

 それもその筈、皇帝陛下への背信行為を行った勢力。その中から新たに五公が選ばれることはなかった。

 今一番勢いがあるのは新体制派であることは間違いない。

 しかしそれをよく思わない人間も存在する。

 権力闘争とはそういうものだ。


 「ワイトラー殿、三国交流の軍事演習は初となるがどのように執り行うのだ。

 軍事に関わる話となると我々ゴーシュラフ家が顔を出さないわけにはいかないだろう。」

 「ええ、例年と同じようにドリス高原付近で演習を行う予定ですが内容は少しだけ変更しようかと。」

 「ほう。」

 「例年でいえば学園生徒と士官候補生、訓練兵をそれぞれ二つのグループに分けて相手を降伏させるというものでしたが今回は戦いに重きを置いていません。」


 軍事演習では帝国グループと魔国グループに分かれてお互いのグループを降伏させるよう作戦を立てて争う。

 生徒が責任者となり、候補生が前線で指揮し、訓練兵が任務を遂行する。

 期間は基本1ヶ月。降伏するまで行うので早く終わったり、長引いたりするが基本変わらない。

 それぞれ元首や役人や高官を決め、実際の戦争さながらの感覚を体験する。

 もちろん、帝国グループが負けることは一度たりともない。魔国グループが手を抜いているとかではなく、単純な戦力差で負けているのだ。


 「三国の指揮系統の認識、連帯感を高めることに意味があります。争いよりも協調を意識して執り行う次第であります。」



 ***


 「なんで俺がハレファスと一緒にお出迎え役なんだよ。」

 「仕方ないだろ。僕たち五大公爵家の人間が他国の同世代と顔合わせをすることが国益になるんだから。」


 学園から離れた帝都の名所『ヤツカトリュウカの聖門』前で僕とハヴァレアは先方の到着を待っていた。

 この場所を選んだ理由は帝都内にあることやシンボルとして誇れるほどの大きさ、偉大さなどもあるがこの聖門が建てられた歴史は東西戦争時代に勇者が降り立った地であり海上戦争時代の聖女が産まれた土地である。

 戦争と結びつきの強い場所であるからだ。


 真凝石をふんだんに使って建てられ現在ではもう取れないこともあり文化的にも貴重なところ。

 聖門は普段閉じられており開くのは外国からの来賓や皇帝陛下、勇者の到来時のみ。

 そんな滅多にない聖門が開く姿を一目見ようと聖門周辺には人だかりができており、兵士たちが警備にあたる。結界魔術によるバリケードは聖門を中心として半径2.5kmを覆うように展開されており、それでいても開いている姿が見えるのだからやっぱり立派なものだ。


 「どっちの国のやつが先に来ると思う?

 俺はメリーバのやつらとみてるが。」

 「やつらとか言わないの。そうだな、距離的にそちらの方が近いし。」


 2人控室であーだーこーだ話していると連絡係が部屋をノックし入ってくる。

 到着したとのことだった。

 すぐに案内された場所へと向かう。

 待機上を抜け広場を通り別の待機室に向かう。

 本日の順序として先方との合流、打ち合わせ、三国挨拶、英気会となっている。


 英気会は軍事演習前の交流会のようなもの。

 立食式のパーティを学生たちで楽しむ。楽しむ?

 楽しめるかはわからないがこれも大切なこと。


 「外務大臣到着です!」

 「大臣、こちらメリーバ神聖法王国からおいでになられた神官様方、魔法大学の学生方、そして聖女様です。」


 白を基調とした法衣で青や金の綺麗な装飾。

 学生は黒の制服の上から紺色のローブを身につけている。中には修道服に身を包んだ女性もちらほらと。


 「どうぞお越しくださいました。カシミ=エルニワトン帝国外務大臣、ハレファス・カシミーアス・ワイトラーです。」


 僕が挨拶するとメリーバからの団体、その中から一際老齢な1人の老婆が前へ出てくる。

 

 「こちらこそ、お会いできて光栄ですわ。メリーバ神聖法王国大司教、エリー・ヴェルシアです。

 若くして外務大臣とは立派ですわね。」

 「恐縮です。」

 「この度このような場を設けてくださりありがとうございます。私たち共々関係を強力なものにしていけることを大変喜んでおります。」

 「魔国の台頭で人類の結束が問われております。

 我が国としましてもメリーバ神聖法王国との2国、ひいてはゾクド王国との三国による硬い信頼関係を作れればと考えております。」

 「その通りであります。魔族のような夷蛮戎狄(いばんじゅうてき)。今度こそ、我々の代で滅ぼさなければならないのです。」


 メリーバは魔族嫌悪の人が多いと聞く。

 この人もかなり思想が強い方なのだろう。嫌魔派ってめんどくさいんだよな。


 そんなことを考えながら話しているとまたも連絡係が僕に近づき耳打ちする。今度はゾクド王国から到着したようだ。


 「エリー大司教、ゾクド王国からいらした方のところへ行ってまいります。どうぞごゆっくりお寛ぎください。」

 「あの、少し待ってくれませんか?

 この子の挨拶がまだでして。」


 エリー大司教から手をグッと引っ張られながら僕の前へと押し出された1人の少女。

 ミルキーブロンド色の長髪に琥珀色の瞳。背は145cmくらいか。まさかこの人が


 「初めましてワイトラー外相。ルイーザ・ガリツィアと申します。一応、聖女です。」


 僕の顔を見て挨拶しているが目を見ていないな。眉間、いや、この視線は鼻下か。


 「初めまして聖女様。ハレファス・カシミーアス・ワイトラーです。どうぞよろしく。」

 

 膝をつき目線を合わせて挨拶する。

 彼女は目を見開くとバツが悪そうに少し視線を下げる。


 「聖女様は少し人見知りでして、その癖を今回の演習で多くの方と出会い克服してもらいたいのです。

 よければ仲良くしてあげてくださいね。」

 「ぜひぜひ!

 ルイーザ様、仲良くしましょうね。」



 ***


 

 「この中に待っておられます」


 「初めまして、よくぞお越しくださいました。カシミ=エルニワトン帝国外務大臣ハレファス・カシミーアス・ワイトラーです。」

 

 部屋に入ると待っていたのは王国の学生たちだった。

 部屋に入る前に、広場でみたたくさんの学生とは違い選抜された精鋭だろうか。人数は3人。

 若いな。


 「あなたが史上最年少で外務大臣になられたと言うハレファスさんですか。

 お初にお目にかかります。私は父に剣聖、母に聖女をもつ、今回の王国団の代表のルキウス・アルノート・エリオットと申します。」

 「よろしく。」


 差し出された右手を固く手にとり握手する。

 ルキウスと名乗った少年は左右の目がオッドアイさらさらの青髪。

 良家の好青年といった風貌。

 学生でありながら今回の団体の代表を務め上げているだけあり実務もできる口だろう。

 

 「まさかハレファス殿がここまで長身とは最初見た時は驚きましたよ。」

 「2年くらい前からですかね。身長が急に伸び始めて今では190cmはあります。」

 「それだけの体格なら頭脳だけでなく腕も切れるのでしょう。」

 「見掛け倒しですよ。実力は剣聖様と聖女様のご子息たるルキウス様の足元にも及ばないかと。」

 「ルキウスでいいよ。同い年の17なんだからさ。

 ハレファスさん。」

 「それをいうならルキウスもだよ。」

 「本当だ。」


 あの両目、少し普通の人とは違う。

 魔眼だろうか。だったら相当天運があるぞ。

 両目魔眼持ちなんて生まれて初めて見る。

 ルキウスと手を交わしたときから伝わる手のひらの硬さ。

 剣を振るい、まめができて潰してきた手。

 立ち居振る舞いは貴族そのもので、過ごしてきた環境は血の滲むような鍛錬が礎となっており武家そのもの。

 きっと勇者を支える人間になることは間違いない。


 「ルキウス、私たちもご挨拶した方がいい?」

 

 後ろから桜色の長髪、背は153cmほどの少女がルキウスに声をかける。

 公的な場は慣れていないか。

 まあ年齢が年齢だしな。僕のように慣れている方が異質でもある。

 少女はドレスの裾を両手でつまみあげ、軽くお辞儀する。所作は叩き込まれている。

 今回の機会を使って経験値を積ませる。

 どこの国も考えは変わらないな。


 「お初にお目にかかります。ヒルデ・フェテラエルです。よろしくお願い致しますわ。」

 「こちらこそ、ハレファス・カシミーアス・ワイトラーです。」


 ヒルデと挨拶をするとさらに1人ひょっこりと僕の前に現れる。

 向日葵色の髪の丸メガネをした身長162cmくらいの童顔の男だった。

 男はぎこちない仕草で慣れない笑みを顔に貼り付けて僕に挨拶してくる。


 「初めまして。ミロ・ゲオールギエフと申します。

 ルキウスとヒルデより一つ歳は下ですけど、よろしくお願いします。」

 「ミロさん。こちらこそよろしくお願い致します。」


 握手をすると硬い表情は少し綻んだ。

 緊張してしまうのは仕方ないだろう。

 同年代といえど大臣相手だしな。

 しかし代表を呼び捨てとは、いくら普段仲が良かったとしても公的な場では好ましくない。

 それを注意しないのはルキウスの良識だろう。

 あとで裏で注意されると思う。


 これ以上2人に喋らせていてはいつ失礼な発言があるのかわからない。

 そう判断したのかルキウスは2人の肩に手をそっと乗せ後ろにさがらせた。

 2人の表情を見ながら、優しい表情で頑張ったなとでもいいたげな様子。

 人として立派だ。


 「今日はこのまま聖門までともに?」

 「いえ、一度ルキウス様たちとメリーバ神聖法王国の皆様と三国代表会談を行ってから聖門で交流式典を執り行い、そのまま英気会となってます。」

 「承知しました。」

 「お昼には交流式典を執り行い、そのまま英気会まで食事するタイミングがないかと思われますのでそれまでに昼食をとっておいてくださいね。」

 「ご丁寧に、重ねて承知しました。」

 

***


 ルキウスに会談の時間を伝えて部屋を出る。

 この後会談まで少し時間があるからな。ハヴァレアと食事でもするか。

 彼は嫌がるかもしれないが式典までに打ち合わせしておきたいことがあるし。

 式典中もあんな態度されては困るし。

 

 「いたっ」


 廊下を曲がると誰かにぶつかる。

 腹筋あたりに軽い衝撃と共にぶつかった誰かは跳ね返って尻餅をついていた。

 

 「大丈夫ですか、、、ってルイーザさん?」

 「あ、ハレファス外相。すいません、お怪我はございませんか?」


 衝突した人は聖女か。

 いやはや、足音したか? 

 気づかなかったとは不覚だ。

 

 「そんなことよりルイーザ様の方こそお怪我は」

 「わたしは、大丈夫です。」

 「よかった。私も大丈夫ですよ。」

 

 しゃがんで彼女の手を取り立ち上がらせる。

 手を取る時、少し唇が震えていた。男にトラウマでもあるのか?

 これだけでは断言はできないが少し不自然だ。

 ただ男慣れしてないだけかもしれないが。


 「あ、あの。わたしゾクド王国の方の元へと向かっていたのですが。」

 「左様で。宜しければご案内致しましょうか?」

 「あ、よろしくお願いします。」

 

 なにか言う前にあをつけないと殺される魔法にでもかかっているのか?

 

 「こちらです。」

 「あ、ありがとうございます。」

 

 ルイーザと別れる。

 最後まで目は合わせないか。

 彼女は聖女だしメリーバでもそれなりには名の通った人だと思う。

 身内にルクシー・アクィナス(メリーバ出身のやつ)がいるが何か知ってるようなやつでもないだろう。

 アレだしな。

 世間の噂話、関わりなんてないし聞いても意味はないだろう。

 今回の交流を通して少しずつ聖女には強くなってもらおう。

 その運命にあるのだから。



 ***



 部屋に戻るとハヴァレアが先に食事をしていた。

 

 「戻ったよ。」

 「おう。先に食ってるぞ。」

 「話とかなきゃならない話がいっぱいあるんだ。

 ちゃんと最後まで聞いてくれよ。」

 「子供じゃねぇんだ。公私混同はさせねぇよ。」


 どうだか。その言葉を信じてもいいんだな。

 2年前のこともあるし、ハヴァレアをあまり公的な場所に連れて行くことは危険だと僕は思う。

 人喰い族との戦いはハヴァレアにとってもそれを見ていた僕にとってもショックな出来事だった。

 そんなことがまた起きるかもしれない。

 正直あの時は気が動転していたのかもしれないがもしもう一度あれをされたら。

 僕は止めないぞ?


 2人の打ち合わせは問題なく進んだ。

 思いの外僕の意見にも耳を傾けてくれ、わからないことには素直に質問したり失礼のない言動にも注意しているようだ。

 段取りも時間まで練習するとのこと。

 とてもハヴァレアとは思えない。

 嵐の前の静かさとも言うのか、不気味なものを感じる。


 もちろん静かなことが悪いことだとは思わないがあまりにも僕の知っている人間じゃなくて呪いにでもかかったのかと。

 バレないよう近づき、無詠唱解呪を試みるも反応なし。

 治癒も解毒もしてみるが反応なし。

 本気で本人の意思ということか。

 信じられない。

 

 今も所作の確認や原稿を音読しておりさながら貴族のようだ。

 いや、元々貴族ではあるが山猿のイメージが強すぎて今の印象が。

 

 「何ジロジロみてんだよ。

 …………変な所作ないよな?」

 「あ、ああ。どこに出しても恥ずかしくない立ち居振る舞いだと思う。」


 なんだなんだ。そんな質問してくるのか?

 ナキ絡みじゃないと心底嬉しいがここまで変化が著しいとナキとの関係を勝手に疑ってしまうぞ。

 

 「最近のハヴァレアくんはなんだかかっこいいな。なにか心情変化でもあったの?」

 「くんって。あの時みたいにハヴァレアって呼び捨てにすりゃいいのに。」

 「あの時は大臣と副大臣って立場だったし。

 今は友達としてね?」

 「………そうかよ。ってか心情変化なんかねぇ。

 お前のが変化あるだろ。今の気持ち悪い発言といい。

 ………身長とかさ。」

 「お互い成長期だしね。背はなにもしなくても伸びるものさ。」

 「そりゃそうだな。」


 会話が成立している。

 あのハヴァレアと僕が。重大事だ。

 絶対なにかあっただろ。二年間クラスが異なり関わりがなかったが何があったんだよ。

 流石に久々に話したがキャラが違いすぎる。

 

 「でもそうだな。」

 「ん?」

 「俺も噛み付くだけじゃなくて磨くもん磨きゃなきゃって思いが強くなってるのかも。」

 「ハヴァレアくん、、、」

 「ッチ、今のは忘れろ。」


 忘れることはないが誰だよ。

 僕を本気で殺そうとしてた15歳のハヴァレア・グン・ゴーシュラフは何処へ。

 

 「ハヴァレアくん、ハヴァレアくんもゾクドとメリーバの人と先に話しとく?」

 「え、いいのか?」

 「うん。今のハヴァレアくんなら大丈夫かなって思ってさ。」

 「なんだよ。今の俺じゃなきゃ1人で挨拶もできないと思われてんのか?

 心外だぜ。」


 無理だと思うだろ。

 僕に会ってから何かと邪魔や妬みをそのままぶつけてきたじゃないか。

 やれやれ、と口にしながら肩を竦める仕草にこちらがだ!といいたくなる。

 

 「これもいい機会だし。挨拶してきなよ。

 僕が代表会談している間、30分くらいかな。それくらい時間あるし交流するにはもってこいじゃないか。

 君も暇だろう?」

 「いいのか?

 元々俺もその会談に出席するつもりだったのに。」

 「そうなの?」

 「お前の話術を盗み見ようかなって。」

 「やめてくれよ。話術まで盗み見みされたら勝ち目がなくなる。」

 「ほざけ。」


 いい機会だと思う。彼がどんな話をするか大変興味があるしまだ心配が少し勝つが。

 信じて送り出してあげなければ人は育たない。

 将来を担う大事な人間なんだ。

 少しくらい不安なだけ。大丈夫だ。


 「だがそうだな。俺も他国の同年代と話をつけとかなきゃいけねえと思ってたし。」

 「文句つけに行くみたいな言い草。」

 「別に文句は言いにいかねぇよ。

 ただよ、同年代で他国に飛び回ってるお前を見てると今日帝国に来てる奴らもハレファスみたい(そんなやつ)なのか気になってるだけだ。」

 「そうかい。」


 少なくともハヴァレアが懸念していることはない。

 彼と同じくらいの人間だけだ。

 年相応の不器用な人間だけ。

 

 時間30分前になり2人で部屋をでる。

 僕は会議室に、ハヴァレアはゾクド王国の待機室に行ってからメリーバの元にも向かうようだ。

 

 彼にとって一時間が有意義なものになることを願う。

 問題を起こすことはない。

 起こすことはない。よな?

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