ナキ? やっぱりどうしようもないやつだな
ここは、見覚えがある。
あのバカ女が住んでいるところ。
やはりと言うべきか、僕は全裸だ。
なんか風邪ひきそうでこの格好は嫌なんだが。
「久しぶりって程でもないね、ハレファス」
「よおバカ女。完敗した気分はどうですか?」
「ウッザ、まじで早く死ねよ」
ふふん、僕に完敗したのがよっぽど悔しいのか、惨めな言葉しか投げかけられないらしい。
「ふふふふ、はははははは。
惨めだね。やっぱり君は惨めだよ。」
「ウザイウザイウザイ!」
「それしか言えないのかい?
まあ? 同じ言葉を何度も繰り返す家畜程度の知能の発音機能しか持ち合わせていない劣等種じゃ、仕方ないよね
にしても気分がいいよ。
バカな女をバカにできるのは」
僕が大爆笑している横で、ナキは地団駄踏んでいる。
ダメだ、笑いが止まらない。
僕に完封されて、馬鹿みたいに誘いに乗って夢に現れ、言い返すことも出来ず地団駄をふむだけ。
こんな愉快なんだね。
バカ女って。
「ガチでウザイ。
お前だけは絶対殺すから。」
「言ってろよ。
お前は何度も僕を殺そうと努力する
けど何度も失敗し、笑われ、地団駄を踏むことになるのは決定事項だ。」
中身がないのに幸せだ。
勝てるわけないのにね。
せいぜい僕の満足感を満たすためだけに生き長らえてくれ給え。
「ハレファスってまじで最低だよね」
「何言ってるんだい?
僕ほど心優しい人間はいないさ。
実際、優しさに惚れられることだってよくあるしね」
「もし本気で自分は優しいとか思ってたらハレファスはまともな認識能力無いって事だね」
何言ってんだこいつ?
「そのまともな認識能力無い僕に完敗する君こそ、認識能力無いじゃないの?
まあ仕方ないか。
君は僕に満足感を与えるためだけに生まれてきたんだからね」
「は? 意味わかんないんですけど。
お前だけは絶対殺す。
助けてって言っても許さないんだから!」
やっぱりバカだ。
バカ女だ。
「僕が君に助けをこう?
万が一にもないね。
こんなのに助けを求めるくらいなら、僕は潔く死を選ぶさ」
「その言葉、覚えときなさいよ」
「覚えとくのは君だよ」
「は?」
「君は自分が殺されないとでも、本気で思っているのかい?
だったら本当に愉快だ。
君ほど頭の中が平和な生き物を知らないからねぇ」
ナキは顔を引き攣らせている。
そして、引いている。
「僕は君を殺す。
そのためなら家族だって殺す」
「なるほどね。
道理で躊躇いないわけだ。
ハレファス、君、バカなんじゃないの?」
今度はナキが大爆笑している。
この女本当に大丈夫か?
頭の中どうなっているんだ?
どうやったら僕が馬鹿だという結論に至るんだ?
バカの考えていることは分からないな。
「聞いてもいい?」
「足舐めるならいいよ」
「じゃあ聞かない!」
「嘘だよ。本気にするなって、ナキは友達居なそうだし、冗談とか通じないか」
「ハレファスだってシェインくらいしか友達いない癖に」
「僕は居ないんじゃない。作っていないだけだ。
本気を出せば何人だって作れるんだ」
「出ましたぁぁ! 友達いない人はすぐそう言うだよぉぉ
ハレファス!」
なんなんだこいつ。
煽っているつもりか?
「煽るなんて低次元なこと、神様がするなんてみっともないね」
「煽りに関して、お前に指摘されたくない」
「は? 僕がいつ煽ったって言うんだい?」
「え? 自覚がないのか?」
は?
「え?」
いや、仕切り直そう。
「んで、聞きたいことってなに?」
「あー、なんで父を殺すのにデオキシリボブレイク使わなかったの?」
こいつ、本気で言っているのか?
なんて可哀想な脳みそなんだ。
「決まっているだろう。
三親等いないの人間は、因子を取り込めば殺せる。
つまり、父様の因子をデオキシリボブレイクに取り込めば、誤射した時に僕が死ぬ。」
「意外と考えてるのね」
「はぁ? 魔獣ほどの脳みそしかなく、かつシワの入ってない君だからかもしれないけどね。
この程度のことは考えてるに入らないよ
呼吸を意識しなくちゃできないのかい?
まったく、本当にバカだね、君は。」
「お前とお前を会話させたい……」
「そんなことしたら、君は1人取り残されて、さらに惨めになるだけだよ。
それは嫌なんだろう?」
「……嫌かも」
「ぷぷふふふふふ、はははははは!!!
やっぱり馬鹿だね。
嫌なことがなにかの判別も付かないなんて、生きてて辛くないの?」
ダメだ。
ここまでのアホを相手にしていると笑いが止まらなくなる。
「…………ぐ……」
「は? なに? 泣いてるのかい?
惨めだよね、本当に。死ぬ?
はははははは!!!」
「なんでそんな酷いことばっかり言うの!」
「前も同じようなこと言ってたような……言ってなかったような……」
「私、本当に馬鹿なの?」
「うん、間違いなくね。で? 死ぬ?」
「死んで欲しいの?」
「当たり前だろ? 死ぬ?」
そこまで言うと、ナキは僕に背を向け泣き出した。
面白半分でナキを蹴り飛ばす、蹴れた!
なんだこれ! 面白い!!
「痛い! ハレファスやめて!」
「そう? まあいいや。やめてあげるよ。」
直ぐにやめたのが以外だったのか、ナキは驚いている。
「なんだよ」
「本当にやめてくれると思わなかった。」
「まあね、こんなことして君が死ぬとは思えないから、無駄だと思ったんだよ」
そう言うと、ナキはまた背を向け泣きだした。
こいつ、死ねって言葉に反応するのか。
いいこと知れた。
「ナキ、僕もう飽きたから返してくれよ」
「分かった……けどその前に」
「なんだよ」
「1回殺させて?」
今日も僕はナキに首を絞められた。
まじであのバカ女は殺す。
2章はここまでです。
現在3章は誠意制作中です。