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デオキシリボブレイク~神と天才の殺し合い~  作者: 熊太郎助
対抗戦編
15/70

始まる戦い



良好良好。


最近の生活は苦が無さすぎると言っていいほど快適な学園生活を送れている。

本日は午前中にテスト。

午後からクラス対抗戦がある。


「ふんふんふーん」


鼻歌を歌っているなんて僕らしくないな。


ハヴァレアも皇女も大人しい。

実に快適な学園生活。

これこそ至高。

研究にも精を出せるしこんな生活が続いて欲しいものだ。


新聞を開き、読み進めていく。


……ゾクド=カシミ連合の共同作業である、第1次勇者召喚の儀式は失敗。

魔族大統領選挙でレスタリカ勝利。


引き続きレスタリカ大統領だな。


ゾクドが魔国にデッサグランを寄越せと………は!?


おいおい、適当に流せない内容が飛び込んで来たぞ。


挿絵(By みてみん)


デッサグランは、魔国最南端の土地で、ナーラレストと国境を接している地域。


デッサグラン砂漠には何千種にも及ぶ魔獣が住み着いており、横断などまず不可能。

山岳地帯には毒ガスが蔓延していて、こちらも横断不可能。


唯一横断可能なのが、東の沿岸部のみ。


海路での移動でも、途中魔獣に襲われて沈没する。


そんな地獄の地も、戦時なら話は別。


東西海山に囲まれた要害と、自然が作り出す要塞を前に、攻め入れるのは一箇所のみ。


幾度と人族に攻め入られて尚、魔国が健在の理由の1つでもある。

そんな土地を寄越せ、ね。


挿絵(By みてみん)


そんな要所を魔国が明け渡す訳ない。

渡したとしても南デッサグラン地方までだろう。


………


やはり、魔国は断固拒否。

当然だな。


後注目する所とすれば、メリーバが3年かけて聖女を育て上げると発表した。

その上でゾクド=カシミ連合は3年以内の勇者召喚が求められた。


無茶だな。

勇者召喚は最低5年はかかると言われている。

理由は異常なまでの召喚成功率の低さと、膨大な魔術の必要量。

お金。

3年以内にトライできる回数は、せいぜい9回が関の山だろう。


その9回のうちに勇者を召喚できる回数は、0.006%くらい。


どれだけ非現実的確率か、分かってくれたと思う。

もう一度言っておくが、9回行った場合の確率だ。

1回じゃない。


***


午前中のテストは前回の魔術テストに加え、筆記テストを行った。

魔術も大丈夫、筆記は満点だろう。

特に心配はしていない。


午後からはクラス対抗戦がある。

僕たちのクラスは1回戦が5組。


そこまで実力に偏りはない。

8組以外。

なんだ? あのクラスは異常だ。

聞いた話によると、全員が小隊隊長クラスの実力があり、ミュートリナに関して言えば大隊長クラスなんだとか。


もちろん魔術大隊のだ。

勝つとかそんな次元じゃないだろう。


「だからと言ってバレないとでも思ったのか」


カシミ=エルニワトン帝国は山に囲まれていて滅多に雨が降らない。

そんな帝国は現在類を見ない記録的な大雨。

これだと火魔術の得意なミュートリナは不利だろう。


ってなるか!


天候魔術使ってるだろ!

国ぐるみの不正とは、つくづく腐っている。


どれだけ庶民を勝たせたくないのか。

どうしようもない国だ。


「あ!」


前からミュートリナたちが駆け寄ってくる。


「久しぶりだね、ハレファス」

「久しぶり、ミュートリナ」


僕とミュートリナが挨拶し合っていることに、後ろにいるタイト以外の3人は怪訝な顔を浮かべている。


「ミュウでいいよ」

「そっか。じゃあこれからはミュウって呼ばせてもらうね」

「ねぇミュウ、この人誰か知ってんの?」


1人短髪で鋭い目の女子がミュウに話しかけている。

敵対心があると言うより、恐れに近いか。


「ん? ハレファスだけど。

それがどうかしたの?」

「どうかした? じゃない!

彼は五代公爵家長男の、ハレファス・カシミーアス・ワイトラー様だよ! ぶふ。」


メガネをかけた細身で僕より一回り小さな男の子がミュウに伝える。


「えぇぇぇぇ!! ハレファスってハレファス様だったの!?

え? えっ、?」


驚き方が独特で面白い、それに可愛い。

って、何思っているんだ僕。


「ちょ、頭が追いつかないんですけど」


タイトも頭を抱えている。

どうやら2人は本当に僕が何者か知らなかったらしい。

薄々感じてはいたがやはりそうか。

辺境の片田舎出身のミュウと、そもそも俗世間に疎いタイト。

それでも、五代公爵家を知らないとは。


「ミュウが大変失礼しました!

以後気をつけますのでどうか命だけは……」


短髪の彼女が深々と頭を下げる様に、どうやら2人も事態を重く見たらしくビクビクと震え上がっている。


「大丈夫ですよ。

2人が僕になにか危害を加えた訳では無いですし、それ以上に気さくに話しかけてくれたことが何より嬉しかったので」


「……! ありがとうございます!」

「あ、ありがとうございます!」

「……!!」


うん。

最近、自分の身分がそれなりであることを忘れかけていたからな。

改めて影響力を確認できた。


自分を理解していない権力者なんて公害でしかないからね。


「ミュウたちはこれから決闘だよね。

どこと対戦するんだい?」

「えっと、3組です。

ハレファス様のクラスは?」

「今まで通りハレファスでいいよ。

僕のクラスは5組だよ。

お互いが当たるとすれば、決勝だけだね」

「ですね。

負けませんからね!」

「頑張ってね! 応援しているよ。」


そう言うと、8組のみんなは驚いた表情をしていた。


「自分のクラス応援しなくていいんですか?」

「それも大事だけど、僕がミュウのファンだからかな。

素直に応援したいんだ。」


「なるほど。そういう事ですか。

なら、存分に応援してくだされ」

「うん。応援してるよ。」

「それじゃあ、私たち行ってきます。」

「あ、後体調が優れなかったり魔力が枯渇してきたなって思ったら僕のところに来てくれ。

力になるからさ。」

「?? わかりました。」


そう言うと、彼女たちは去って行った。

1回戦の結果、1組は4-1で勝利。

8組は5-0で完勝していた。

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