失恋
朝………
起きたくない。
そんなわがままな気持ちに私、テレスシーナ・カシミ・ヘンペラーは支配されている。
いつにもまして憂鬱な朝。
必ず日は昇る。
そんなこと分かっていても、私の心の日は一向に昇らない。
必ず昇る。
しかし、それがいつか分からない。
何故昇ってくれないの。
「はぁ」
悪いのは全て私なのに。
3日前の朝、ハレファス様とハヴァレア様の会話を偶然聞いた。
内容は、ハレファス様が私を狙っている。
ハレファス様は、私のことが好き。
その時の私は有頂天で、天にも昇る気分だった。
ハレファス様………私、とってもとっても苦しいです。
それから、数時間はドキドキしっぱなしだった。
だって、ハレファス様が私のこと好きだなんて思ってなかったし、好きな人と両思いなんて、これを幸せと言わずなんと言うか。
ああ、辛い。
そう、そんな幸せは長く続かない。
私は本当かどうか、両思いかどうか確かめたかった。
今では分かる。
確かめなければ良かったと。
知らなければ、幸せなままだったのかな、と。
「泣いちゃダメ、学校があるんだから」
私は彼に直接確認した。
結果は、最悪。
夢から覚め、現実に引きずり込まれるのって、あんなに辛いんだと知った。
その時涙は出なかった。
何故なのか今でもよく分からない。
絶対泣くところだったろうに。
ああ、泣きたかったな。泣けばハレファス様に構ってもらえたのかな。
私の欲を、みんなのために行った演技だと言っていた。
優しくなんてないのに。
私は皇女。
いずれ他国の王族と結婚させられるのだろうことは、ハレファス様でもわかっている。
身分が違いすぎるなんてことないのに。
ああ、なんて酷い人なの。
ハヴァレア様を庇われるなんて。
私、彼のことを憎めない。
酷い、酷いよ。
私苦しいよ。
ハレファス様。
私、あなたのことは諦めようと思う。
だって、こんなにも苦しい。
好きだったの。
初めて会った時からかっこよくて。
賢くて、誰かのために自分のことを犠牲にするあなたがとても愛おしかったの。
私なんかとは違う。
すごい人だって憧れてたの。
ちょっと運動が苦手で、私より剣術が下手くそな所も大好きで、全部全部大好きだったの。
恋って辛い。
ありがとうハレファス様。
そしてさよなら、私の初恋。