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転生勇者のエピローグ  作者: misao
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勇者のプライド

 イブはサロンから晩餐会の会場へ戻った。会場が騒然としている、何やら揉めているようだ。嫌な予感しかしない……。騒ぎの中心にいるのは、シルビアと人相の悪い男だった。


「リッカ、どうしたの?」


「どうしたも何も……あのテゾロって男がいきなり絡んできて……シルビアが怒っちゃって」


 それは騒ぎになるはずだ。シルビアの男装はズタズタに引き裂かれている。だが、シルビアは一切手を出さなかったらしい。


「シルビア……」


「イブ様」


 イブは自分の羽織っていた上着をシルビアの肩にかけた。すでに一枚羽織っているが、少し胸元がはだけている。


「シルビア、手を出さなかったって……お前はやはり見所がある」


「イブ様…………」


 シルビアは涙を堪えている。対してテゾロと覚しき男は教官達に取り押さえられて、暴言を吐きまくっている。


「おいアマ、カッコつけてるんじゃねえ、今すぐぶっ殺してやるよ、ほら掛かってこいや」


「シルビア、よく我慢した。あれは野良犬の遠吠えと一緒だ。明日、私がキッチリお返ししてやるから」


 イブはシルビアを控室に連れていった。そしてシルビアが落ち着くのを待つ。マーリ教官やダフネ校長も付き添ってくれたが、プラックに呼ばれたのか、その場をイブ任せて出ていった。


「落ち着いたかな さすが未来の勇者だな(笑)」


「ごめんなさい。私がカッとなって口答えしたばかりに。イブ様の事を悪く言うから…………」


「ありがとう。でもね、シルビア。真の勇者はプライドや体面に拘ったりしないの。どんなに馬鹿にされても(さげす)まされても、言われた事を受け止め反省する事から始めるの。謙虚であること、それが勇者に必要。これから色々学ぼうね」


「はい イブ様」



 イブは服装を整えて会場に戻った。



△△△△△△△△△△△△△△△



「ほう、その様な事があったのか。こりゃ明日は凄惨な事になるな」


 プラックはダフネから会場でのトラブルの報告を受けている。パーティでのその手の揉め事は……カイル様が現役の頃は四六時中の事であった。


「プラック様が来られているというのに……申し訳けありません」


「いいではないか! 若者は元気が一番だよ。しかしまぁ、あのテゾロという青年はロクでもないな。ここで断言しておこう〜あの青年は早死にするな(笑)」


 プラックはダフネと面識があった。だが、お互いに詳しくは知らない。しかしマーリはよく知っている。黒魔道士軍団では目立っていたからである。黒魔道士軍団は言わば隠密、そこに所属していた事は公にはしないのが掟である。


「プラック様、明日の対抗戦、剣技の開催は取りやめましょうか?」


「それは困る! 最後の種目で盛り上がるのであろう。明日はかつてない規模の観衆が集まるのに、メインイベントがないのはあり得ん」


 カイル様は相当ご立腹のはず、きっと素晴らしい剣技であの男を処理してくれる。そうすれば蘇生素材も手に入る。


「あのテゾロとかいう外道と対戦するイブがもし命を落とすようなことが…………」


「ないない いや失礼。仮にそうなったとしても私がいるから、何度でも蘇生させるよ(笑)」


  カイル様の格好といい、今日は愉快なことが多い。心の底から笑った記憶など……プラックの人生では、ないに等しい。


「では、緊急事態の時はよろしくお願いします」


 報告を終えてダフネとマーリがプラックの居室から去っていく。


「プラック様、マーリがこんな所にいるとは、驚きですな」


「あぁ。黒魔道士軍団の白魔道士……だったかな。二つ名を持つ人間は稀だからよく覚えてるよ〜たしか魔族の混血を助けて除名されたとか…………」


「いや、厳密に言うと魔王の子ですよ」


 黒魔道士軍団は今日暴れたテゾロと何ら変わらない。殺人が趣味の集団のようなもの、元々魔族から人族を守る為に組織されたが、今は違う。ここもプラックにとっては研究素材のお得意様である。


「カイル様が知ったら…………確実に壊滅させられるな」


「プラック様、そろそろ閉会の時間です。閉会のお言葉を会場にてお願いします」


「うむ」



△△△△△△△△△△△△△△



 明日が本番だと言うのに、とても疲労感がある。晩餐会はプラックの言葉で幕を閉じる〜一度女子寮に戻ったが、明日の代表メンバーをイブ部屋に集合させた。


「みなさん、今日はお疲れ様でした!」


「ホント…………」


 いつもより口数が少ない。シルビアは……落ち着きを取り戻している。


「集まってもらったのは、これを渡すためです」


 イブは人数分のお守りを取り出した。カラフルな色合いで、それぞれに名前が刺繍されている


「なんかカワイイね」


 やはり皆疲れているからか盛り上がらない。


「これは私が作ったお守りです。効果はバツグンなんですよ! 紛失しても盗まれても戻ってくるように名前のところに魔法を付与してみました」


 それぞれにお守りを渡した。


「なにこれ? 後ろの紋章」


「それは我が家の紋章です! ピンチの時はそれを拝んでください! きっと何事も切り抜けられるでしょう」


「ならとりあえず、明日のためにみんな持っておくか」


 それなりに喜んでくれてるようだがやはり盛り上がりに欠ける。明日のために早々に解散した。自身の名前と勇者の紋章が入ったお守り、付与した魔法以外でも効果はバツグンのはずだが……。

 

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