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二人の職業

じゃあ、とりあえずこっちに来て座っててねといつの間にかカウンターの奥にいたマフィルさんに促された。

マフィルさんは奥の部屋に入っていくと、占い師が使うような水晶玉みたいなものと、大量の紙やら冊子やらを持って戻ってきた。



ドサっ



カウンターの下に勢いよく置くと、向かいの席にそのまま腰を下ろす。



「さてとっ!じゃあまずは名前の登録だけ先にしちゃおっか!」



そう言いながら右手で空中を撫でると、ゲームの世界みたいな透明なパネルが目の前に現れた。



「うわっなにこれ!すごいよっゲームの世界じゃん!ね、八神!」



元の世界ではあり得ない、まぁ異世界すぎる現象にさっきまで黙っていたはずの雪上は一気にテンション上がってしまってとてもうるさい。


そっか。プラネの子達は見慣れないんだよね。とマフィルさんは、透明なパネルについて詳しく教えてくれた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

元の世界でいうプロフィールみたいなもので、名前や年齢、身分、職業、冒険者はスキルやレベルなどが表示されるらしい。基本的には自分や、親しい人しか見れないとのこと。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





…まぁこんなとこかな!とにかく、まずは名前からだよ!この世界は基本的には名前で登録するんです。理由はわからないんですけど、なんか暗黙の了解といいますか…。」



「なるほど。じゃあ俺はユウで。」



「私はウルだねっ!」



フンっフフン♪と鼻歌が聞こえてきそうな謎に上機嫌な雪上はさておき、ちゃちゃっと登録をしていく。


ちなみに、これからの世界では名前で呼ばれるとのことなので、名前呼びになれなければ…と変な心配をしてしまった。



「お二人の身分は異世界人なので、そのまま異世界人で登録しておきますね。それから、この世界では全員に職業が割り振られているので、お二人にも職業を決めていただきます。まずこの水晶玉に触れてもらっていいですか??」



カウンターの下から水晶玉を取り出すと、そう言って水晶玉を光らせた。



「水晶玉に手をかざして、我への命を示せって言ってみてください。お二人にあった職業が表示されますよ!」



言われるがまま、八神は水晶玉に手をかざす。



「…我への命を示せ…」



ポツリと呟くと、水晶玉がオレンジ色に光り、弓のような模様が浮き出てきた。



「なになに!?八神なんの職業!?」



横に座っている雪上は、相変わらず目をワクワクさせて前のめりになっている。

マフィルさんは水晶玉をみてニコリと微笑んだ。



「おめでとうございます!ユウ様は弓使いだそうです!」



結構人気の高い職業なんですよ〜なんて言いながら俺の登録をしてくれた。

弓使いか。元の世界で弓道部に入っていたのが影響したんだろうか。まぁそれなりに楽しそうだ。


登録を終えたマフィルさんは、水晶玉を雪上の前に置いた。



「次はウル様ですね!手をかざしてみてくださいっ」



えーっどうしよう、私絶対ヒーラーとか安全な職業がいいなぁ。なんて思いながら水晶玉に手をかざした。



「我への命を示せっ!」



すると、水晶玉は雪化粧みたいにキラキラ輝きだすと、六芒星の模様が浮き出てきた。



ガタンっ!!



水晶玉を覗き込むが早くマフィルは椅子を倒して立ち上がった。その顔は嬉々に満ち溢れていて、今にも泣き出しそうだ。



「ウ、ウル様!これはすごいです!これ、これは!…」



「おー!使い契約人か」



後ろに立っていた宮田さんが物珍しそうに言う。

ちょっとコウダイさん!私が言おうとしてたのにー!!プクーっとほっぺを膨らませてぶつぶつ文句を呟く。そんな2人をよそに私は聞きなれなかった職業をもう一度呟く。



「…使い契約人」


どんな職業なんだろう…。

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