王国立ギルド
外出用の服に着替えた宮田さんに急かされるまま、紅茶を飲み干して、雪上はこっそりとお茶菓子を手に取り3人は外に出た。
「さてと、まず最初にギルドに行っておこうか。これからこの世界で生活するのに名前を登録しておいた方が何かと便利だからね!。」
と、キラキラスマイルで微笑みながら、お尋ね者屋の隣にある、どデカくイカつい建物を指差した。
さっきはちゃんと見れてなかったけど、お尋ね者屋ってなんか、浮いて…いや、なんでもない。
まぁちょっと変わってるんだなと思ってしまった。
時はお昼頃なのだろうか、太陽はちょうど真上にいて日差しが暑い。
「ミヤタさん。ギルドっていうのは、よく異世界アニメとかで見る冒険とかそういう人たちの集まりですか?」
ふと疑問に思って聞いてみれば、宮田さんはあーそれねって感じで答えた。
「まぁそうと言えばそうだし、違うと言えば違うかな。確かに冒険者たちがいるのは確かだけど、元の世界でいう市役所的な場所だよ。商売するのも、ギルドで登録すればできる。お金の管理とか、住民の管理とか、なんなら婚姻届なんかも全部ギルドでできるよ!」
そんなこんなで徒歩1分。
ギルドの豆知識的なことを話し終えて、宮田さんはギルドの扉を開けた。
ー おい!これこの場所に置きっぱにした野郎は何処のどいつだ!ゴラぁぁ!!
ー ね!お願い!もうちょっと高く買い取ってくれないかな
ー ちょっとちょっと!これはまだ終わってないって!
ー なぁお兄さんいつまで待たせんだよぉ…
ギルドの扉を開ければ、バタバタと忙しなく動いてるギルドの人とか、大きい斧を担いでる人とか、カウンターで値切ってる人とかいろんな人がごちゃごちゃとしていて、呆気に取られてしまった。
「ふむ。いつものギルドだね!」
ケロッとした感じで言う宮田さんは、スタスタと、
『登録案内所』
と書かれている一番右端のカウンターまで歩いて行った。
カウンターには右手で頬杖をついてポケーと、暇していますとアピールしているような女の子がいた。
「おはようマフィル。調子はどうだい?今回も新しい子達お願いできるかな?」
そうカウンターに座る女の子に俺たち2人を親指でホレっと指差しながら喋りかける。
あらっコウダイさんいらっしゃい。またプラネの子達?
とカウンターから出てきたその女の子は営業スマイルとは程遠い純粋な笑顔でニコッと微笑んだ。
「初めまして!私、王国立ギルドの受付嬢、マフィル・レーガンと申します。この度はお二方に出会えたことに乾杯ですね!」
茶色の制服を身に纏い、特徴的な丸渕メガネの奥には薄い空色の瞳が見える。愛されキャラなんだろうなと、なんとなくそう思った。
「とりあえず!お二人さん。ようこそ!世界一大きな王国立ギルドへ!」




