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俺は真面目に生きてやる

スタスタと一人で丘を下りていく八神の後をスクールバッグを片手に小走りで追いかけた。


丘を下った先には、街へ続いているであろう舗装されていないデコボコ道が、木々の生い茂る方へと続いている。


デコボコ道であるにもかかわらず、相変わらずスタスタと歩いていく八神。

雪上は呑気に鼻歌なんかを歌いながら空を見上げて八神の後ろを歩いていく。


見上げている目線の先には空を優雅に飛ぶ生き物と木々を飛び回ってる小さな見慣れない者達。


雪上が興味を持ちそうなものばかりがこの世界にはある気がする。


こいつが変なことをするのも時間の問題みたいだ…。


しばらくデコボコ道を一言も話さずに進んでいくと、ふと何を思ったのか雪上が言葉を発した



「ね、八神。ここやっぱ異世界だよね。」



まるで小さい子が初めて遊園地に連れてってもらったように目をキラキラとさせながらそう俺に聞いてくる。


嫌な予感がしなくもない…。



「そうかもな。俺らの世界にあれいないし。」



さっきからずっと空を飛んでいる竜であろう生き物に目を向けながら答えた。



「異世界…。」



いつにも増して雪上の目が怖い。

獲物を見つけた猛獣みたいな目つき。

すごいギラギラしている。


ほんとに何かしでかす気なのか…

先に忠告しておこう。



「おい。変なことだけはする…な、。」



と言うのも遅く。


後ろにいたはずの雪上は、はるか俺の頭の上。木よりも高い場所に…

…は。俺の…ウエ?



「うっわぁあああ!ってやばっ。や、八神っ!。」



あまりの突然の出来事に思考が追いついていない。


理解する暇もなく上からウギャャーと雪上の悲鳴が近づいてくる。

そんな女子と思えないような声にハッとしてすかさず落ちてくる雪上を受け取ろうと試みてみた。


"ドスンっ"


痛い。

っておいおい待て。

空から女の子が落ちてくる展開は異世界ものの定番だが、だがなぜ…こいつなのだ。

普通ならば、美少女が空から降ってくるとか、落ちたら一目惚れしましただとかそういう展開ではないのか…。

なのに俺は…。


雪上にクッションがわりにされた八神は地面にうつ伏せになりながら思った。



「イテテ…。ふぅあぶなかったぁ〜!あ、八神だいじょぶ?。」



何も悪気はありませんみたいなケロッとした顔で聞いてきたのも束の間



「ってかさ、ほんとにすごいね!異世界ってやっぱ変な力使えちゃうんだぁ!」



俺を下敷きにしたくせに俺に手を貸すわけでもなく、さっき起こった出来事に感心して一人でわぁわぁ騒ぐこいつは本当に同じ人間なのかと疑いたくなる。


ギギギと効果音が付くように、顔を雪上の方に向け睨みを聞かせながらボソッと一言。



「俺は絶対。真面目に異世界生きてやる…。」

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