少しずつ
癒されていく
回復していく
育っていく
少しずつ、少しずつ
頬を撫でる風
柔らかい土と雨の匂い
森の奥に隠された秘密の滝の飛沫
君を守る母の呼吸
愛しいと 愛しいと
ぬくもりだけを届けるように
街路樹が枝をかがめて君に触れる
大丈夫だよ、ここにいるよ、愛しているよ
通りすがりの猫が君の前で足をとめる
苦しいの? 何か困ってるの? どこか痛い?
夜は全ての音を消し去り君に寄り添う
忘れて、気にしないで、君は何も悪くない
癒されていく
少しずつ
回復していく
少しずつ
育っていく
少しずつ
いつか輝く君が目を覚ます明日のために
君の美しい魂が全ての人と世界を抱きしめるその日のために
空の果てから歌が聞こえる
ただ君が愛しいと
癒されていく
少しずつ、少しずつ
それは遠い宇宙からの瞬きにも似て
かすかに
けれど、確かに
少しずつ、少しずつ……