表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーリンの花のように  作者: きみあきつき
93/896

86 万能薬

 俺が寝床用かまくらを作っている間、リズさんは俺が先に作っていた食事用かまくらで料理を担当していた。料理と言ってもさっきの蛙肉と野菜を煮込んだ鍋にパンだけだが。凍えた身体にはもってこいだ。


 テントを立てたら以前交易都市ラードンでクッションと一緒に購入したふわふわの敷物を敷いて、毛布を出したら出来上がりだ。寝袋もあるのだがこの世界には無い物だから使わずにいる。


 寝床の準備が出来たのでリズさんの方に向かうと、ちょうど鍋が煮えた所だった。深皿によそってもらって早速頂くことにする。

 スープをすすると身体の中から温まって行くのを感じる。ほうっ、と思わず吐息が漏れる。ついスープだけ先に飲んでしまった。シンプルに塩だけの味付けだが野菜の甘みも出ていて凍えた身体には十分に美味しく感じた。

 蛙肉も食べてみたが、臭みもなく本当に鶏肉っぽかった。言われなければ蛙だとは分からないな。2杯もお替りしてしまった。

 食後のお茶を飲みながらまったりしているとリズさんが話しかけてきた。


「リク、この場所の事は誰にも言うなよ。特にリーリンの花については絶対に誰にも口外するな」

「何でですか?」

「貴重なものだからだ。クルスルス国では今の所この場所でしかリーリンの花が確認されていない。知れ渡って乱獲されたら他の場所が見つからなかった場合大変な事になる」

「リーリンの花って何に使われるんですか?何でそこまで?」


 リズさんはしばらく考え込んだ後、今までに見た事ないほど真剣な顔を向けてきた。


「この話は絶対に口外しないと誓えるか?この花の存在はごく限られた者しか知らないんだ。花の名前と言うよりはその使用目的だがな。もし存在がばれて花が取れなくなったら大勢の人間から恨みをかうことになる。誓えるか?」

「それほどですか!?」


 まさかそんな危険な花とは思わず、すぐに返事をする事が出来なかった。考えた末話を聞く事にした。ここまで来て、がっつり関わったんだ最後まで知りたいよな。


「誓います。誰にも言いません」

「そうか。・・・リーリンの花はな、万能薬の材料になるんだ」

「万能薬ですか?」

「そうだ。あらゆる怪我、あらゆる病気に効く薬だ。聞いた話では四肢欠損をも治すそうだ」

「それは・・また、何と言うか、凄いですね」

「ああ、一般人には知られていない。王侯貴族と一部の大金持ちだけが手に出来るんだ。手に入るリーリンの花が少ないんだ。当然作り出せる万能薬にも限りがある」

「なるほど、そう言う事ですか。確かにそれはばらしたら殺されそうですね」

「確実に追手がかかるだろうな。それ位貴重な花なんだ」

「絶対言いません!あれ?でもロイとメルは今回の依頼知ってますよ、大丈夫ですかね?」

「この場所と使用目的が知られなければ問題ない。実際ギルドを通して依頼を受けているしな」

「確かに」


 何とも物騒な話を聞いてしまったな。まさかの万能薬とはね。

 そう言えば俺が使えるハイヒールはどこまで治るんだろうか?スキルボードで確認出来るか後で見てみよう。


お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ