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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 うちはロイ夫婦のお陰で実に賑やかになった。猫族っていうのは多産なのかね?それとも獣人族全体がそういう傾向にあるのかな?

 ロイ夫婦の所は3男2女(さず)かったし、メルの所は2男2女授かった。そこにダイ夫婦の子が1男2女加わってもうてんやわんやですよ。まさににゃんにゃん天国!!俺がすぐ家に帰りたくなる理由も分かるでしょ?

 メルの子は全員が人寄りの猫族だったけれど、ロイの子は男児2人が獣人寄りだったな。先祖返りもあるって聞くけど、奥さんが獣人寄りだった事が影響してるのかもね。


 ダイも最初はAランク冒険者になってから結婚したいとかロイみたいな事言ってたけど、孤児院で一緒だった子とデキ婚しちゃった。まだBランクの時だったね。突然相手の子を家につれて来て恥ずかしそうに紹介してくれたっけ。

 驚いたけど何時結婚するんだってやきもきするよりはずっと良い。


 結婚しない選択肢も当然ある。それを否定するつもりはないけど、俺はこの世界に独り飛ばされて来てロイとメルに出会うまで心細く寂しい思いをしてきた。その間何度も離れてしまった家族の事を思い出して自分を慰めていたっけ。だからかな、自分の家族を増やす事に()がれていたのかもしれない。


 メルの子供達は王族だ。その教育を受けるために10才になったら王都に向かわなければいけない。宮殿に住んで学校に通うんだ。メルもラデス殿下も辺境を離れる事は出来ないから子供達だけでね。メルは行こうと思えば行けただろうけど夫であるラデス殿下を1人残して行く事に抵抗があったようだ。その辺は俺の影響を多分に受けていたかもね。俺の次に家族っていうものを大事に考えていると思う。俺が仕事で家を空けている間はリズさんとともに子供達を守っていてくれた。


 メルが付いて行けない代わりと言っては何だが、港町で隠居していた元国王夫妻が王都に戻って来て面倒を見ると言う手紙が届けられていた。『両親の代わりは私達が立派に努めます』って言うアゼット様からの熱い手紙がね。妻であるアゼット様に引きずられてティモンズ様も一緒にだ。自分達が戻ったら今の国王夫妻が気を遣うだろうと一応説得を試みたが不発に終わったらしい。

 ずっと辺境に行きたい孫達に会いたいと願っていたが叶えられずにいた感情が爆発したんだろう。何度も訴えられて抑え込むのが大変だったとティモンズ様がしみじみ呟いていたっけ。

 メル達も数年に1度は子供達を連れて王都を訪れていたがそれだけでは足りなかったらしい。何でか知らないけどアゼット様は猫族に並々ならぬ思い入れがあったようだ。

 そのお陰かどうか分からないがアゼット様は100才まで生きた。エルフ族とドワーフ族を除けは稀有(けう)な例だろう。生きがいってのは大事だな。

お読みいただきありがとうございました。

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