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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 俺を凝視したまま固まっている家族たち。ダイなんて食べかけのクッキーの欠片が口元から零れ落ちている始末だ。


「ダイ、クッキー落ちてるぞ」

「ふぇっ」

「何で皆固まってんの?俺の顔に何かついてる?」

「ああ、いや。今日は帰って来ないと思ってたんだ」

「うん。ロイお兄ちゃんと一緒でむこうに泊まって来るんだろうなって話してた所だったの」

「お父さん追い出されちゃったの?」

「そんな訳ないだろ!そもそも最初から泊まる気も無かったしね。まさかそんな風に思われていたとはな」

「日頃の成果だな」

「それどんな成果ですか・・」

「失礼いたします。旦那様、お夕食はいかがなさいますか?」

「え?皆は食べたの?」

「はい。今夜はお帰りにならないだろうとお先に召し上がってまして・・」


 ミトさんに向けていた顔を戻しソファーに座っている皆を見渡す。サラとダイがスッと視線を外し、リズさんは悪びれる風もなく俺を見返している。7時過ぎてるし夕食の時間はとっくに過ぎてるからいいんですけどね。


「食べる物あります?なければ手持ちがあるんでそれ食べます」

「野菜スープがございますが」

「ならそれください」

「かしこまりました」


 テーブルに用意されたスープに手持ちのピザを出して独り寂しく食事を始めていると、リザロがやって来た。


「お前居たのか」

「居ちゃ悪いか」

「そうではないが、泊まり込むと思ってたんでな」

「お前もか。俺はそんなに過保護じゃないぞ」

「自分を知らんとは恐ろしい事だな」

「リザロにだけは言われたくない。お前のせいでロイが悪い方に影響受けちゃってさ、立派にリザロ2世と化してるぞ」

「ふんっ、妹を思う気持ちの何が悪い」

「行き過ぎてるんだっての。過保護通り越して執着してんじゃん」

「馬鹿な。穿(うが)った見方をする方がどうかしてるんだ」

「はぁ。リズさん一言お願いします」

「気持ち悪い」

「気持ち悪いってさ」

「お前がな」

「俺の事じゃねーよ」


 両者一歩も譲らす睨み合いが続く。

 俺とリザロはこうやって言い合いできるだけまだマシだよな。対してロイとラデス殿下の場合は、ラデス殿下の方がロイに遠慮してというか我慢しちゃってるからな~。どうしたもんかね。


「リザロ、ワインでも飲まない?」

「何だ急に。お前酒飲めないだろ」

「飲みたい気分なんだよ。ちょっと付き合ってよ」


 リザロが無言で向かいの席に座る。俺達の話を聞いていたミトさんがすぐにグラスとワイン、俺には果実酒を用意してくれる。遅れてチーズとハムの盛り合わせも持ってきてくれた。いつもなら手酌なんだが今夜は最初の一杯だけお互いのグラスに注ぎ合う。何も言わずともそう言う流れになった。俺の様子に思う所があったらしい。

お読みいただきありがとうございました。

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