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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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815 不可解

 2月に入っても俺は亜熱帯ゾーンに足止めされていた。何でかって?うちの奥様からまだ帰って来るなとの命が下されたからです。理由はいくら聞いても教えてもらえなかった。


『まだ帰って来るな』

「何でですか?」

『忙しい』

「何かあったんですか?手伝いますよ」

『必要ない。邪魔だ』

「俺がいると困る事でもあるんですか?」

『帰って来たら教える。だがまだ帰って来るな』

「え~~、こっちもう雪降ってるんですよ!早くお家でぬくぬくしたいんですけど。リズさん何を隠してるんですか」

『隠してなどいない。まだ言えないだけだ』

「それじゃ分かりませんよ」

『いいから言う通りにしろ。破ったらシメる』

「こわっ」


 以上が辺境に帰るよ~と事前連絡した時のリズさんとの会話である。どう考えたっておかしい、何か隠してるのは間違いないんだ。

 俺なんか怒らせるような事したっけ?仕事に出る時リズさんの機嫌どうだった?いつもと変りないように見えたけど、表に出さないだけで俺に不満があったりして。何を言われるんだろう・・・まさか離婚じゃないよね?答えの出ない問題に頭を悩ませ、今までの事を思い返しなにがしか変化が無かったかと考える。


 今はトンネル内で休んでいる。いくら亜熱帯ゾーンでもこの時期は雪が積もっているからな、狩りをする気にはならないよ。そんでしょうがないからトンネル内で時間を潰している所だ。


『リク、何時までここにいるんだ』

「2月の中頃まで帰って来るなって」

『いったい何があったのかのう。リズは何故何も言わん』

「俺にも分からないよ」

『他に何か言われなかったのか?』

「どこにも寄らずにまっすぐ帰って来いってさ」

『どこにも寄るなねぇ』

『それはギルドもか?』

「たぶんね」


『暇だな』

『何もないからの』

『絶縁される?』

『それは無いんではないか?帰る時期を遅らせてどうするのかは知らんが』

『リクが気付いてないだけでリズを怒らせるような事をしたんじゃないのか』

『主、鈍感』

『だがリズの声は怒ってなかったぞ』

『リクに隠さなくてはならん事か・・』

『今は話せんと言っておったな』

『難解』

『そうだの』

『リクが単純すぎるんだろ』

『主だって頭を巡らせてる時もあるぞ』

『何年かに1回だろ』


 言いたい放題言ってくれるね、うちのホムンクルス達はよう。隣で俺が寝転んでいるというのに聞こえてないと思ってんのかね。いや、あいつらは俺が聞いていようがいまいが関係なしにいつも好き放題言ってるよな。

 トンネル内が無人である事は先に確認していたからこいつらも外に出ているんだ。姿が見えていた方が俺の気もまぎれるし。


『リク、起きてるんだろ?そろそろ出発してもいいんじゃないか?』

『のんびり歩いて行けば丁度良いと思うぞ』

「そうだな、じゃあ行くか」


 起き上がり、地面に敷いていた毛布とクッションを手に取りクリーンをかけて収納ボックスに放り込んでいく。

 そんじゃリズさんのご命令通りに2月中旬を目指して帰りましょ。

お読みいただきありがとうございました。

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