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アッヅゥ~、アヅイ~~~。もう駄目だこれ、これ以上先には進めないわ。
「ちょっと待って、もう駄目だ」
『あん?』
『大丈夫かの?ここからが本番だぞ主』
「無理。ここらで限界だ」
『何言ってんだ、やっとゾーンに入った所だろ』
「前より気温が上がってるんだって。王サラマンダーが棲んでた火山の温度に近いんじゃないか?」
『未だ煙が上がってるからのう。活性化しておるのかもな』
「だろう?その辺に転がってる石で肉が焼けるぞ絶対」
『じゃあ帰るのか?サラマンダーはいいのか?』
「・・・大き目のサラマンダーはまだまだ先だよな?」
『そうだの。この辺には小物しかおらんだろうな』
『入口だからな』
「ギンとハクがサラマンダー飛ばしてくるっていうのは出来る?」
『ここまでか?』
「うん」
『ちと厳しいのう。1度では無理だろうな』
「やっぱ駄目かー。じゃあリレー方式でどう?」
『どうって・・』
『リレー方式とは何ぞ?』
「どっちかがサラマンダーを飛ばして、落ちた所をどっちかが俺の所まで又飛ばすって言うね。1度で届かないなら2度飛ばせばいいじゃない方式だ」
『力加減を間違うと死んじまうな』
『我は問題ない。ギンが危なかろうて』
『はあ?俺だってできるさ』
「あ、そう?じゃあそれでお願いします。俺はもう少し後ろに下がってるから頼むな。20体もあればいいからね」
『『・・・・行ってくる』』
「お願いしま~すっ」
駆け飛んで行く2体を見届けて俺は来た道を少し戻って腰を下ろした。サラマンダーが飛ばされて来るまで少し休もう。
木陰でもあればいいけど気温の上昇と火山灰の影響で元気に生い茂ってる木はないからな。装備を外して涼みたいところだけどこの装備自体に耐熱耐寒効果があるからな、外した方が余計暑くなるだろう。
『主、もっと頭使うべき』
「あん?何だって?」
『頭を使えと言った。耳まで遠くなったか?』
「ライ、お前な・・」
『熱いなら冷やせばいい』
「いやお前、簡単に言うなよ。雨でも降らせってのか?」
『主温泉入った時、氷出してた』
「ああ、氷ね。でもさ、こんな所に出したってすぐ融けるだろ」
『また出せばいい』
「なるほど。やらないよりはマシか」
『うむ』
ライに提案されるなんてな~。しかも頭使えとか・・・ライに言われると素直に聞き入れられないのは何故だろう。すっごく馬鹿にされた気分。
だがしかし、少しでも暑さが和らぐならやらない手はない。確か魔力込めれば融けにくかったよな?温泉の中に入れるよりは遥かに融けにくいだろうけど。
試しに出してみた氷塊、これは良い物だ。全身で抱き着けるように丸柱にしてみた。ああ~気持ちいい。こんな所に極楽浄土が・・。
ジュワ~ッと蒸気を上げじわじわと融けていく氷塊だが、服が濡れた所ですぐに乾くんだ問題ない。ついでに水玉出して全身濡らしてしまおう。そうすればより涼しくなるはずだ。
そうして氷塊に抱き着き待つ事数十分。ライを通してギンから念話が届いた。距離が離れすぎると俺に直接よりホムンクルス同士の方が話しやすいらしい。
お読みいただきありがとうございました。




