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アヅ~~~ッ。滴る汗を拭いながら目的地を目指す。
まだ火山地帯の入口にも辿り着いて無いってのに熱気ムンムンだよ。火山灰が降り積もっている上を歩いてるから靴もどんどん汚れていってるし、ここを選んだのは失敗だったな。
この灰はずっと降ってるのかな?噴火が収まってないんだろうか?
それにしても魔物ってのは頑丈って言うか生命力が強いよなー。自分達が元々棲んでいたエリアが灰に覆われ、溶岩が流れて来た事で気温だって上昇している。噴火した時は逃げ惑っていたのにそれでもしぶとく生き残って活動してるもんな。
『ここはどこなんだ?魔物がバラバラだぞ』
『うむ。おそらく噴火の影響でゾーンが破壊されたのだろうな。逃げている間に入り乱れたのだろう』
「そんな事ってある?残ってる部分もあるんだし自分のゾーンの境が分からないなんてあるのか?」
『今回の噴火は何百年ぶりの大噴火、破壊された範囲も多かろう。ゾーンどうのと言っておっては生き残れぬだろうよ』
『あそこにスライムがいるぞ。あいつらも逃げて来たって事か?』
「スライムって逃げるっけ?あ、いや、動く事もあるもんな」
『推察するにここは魔法ゾーンとスライムゾーンの境に近いんではないか?少し先を見ればスライムがウヨウヨおる』
「この辺の林が無くなってるのか。これじゃ境界線も分からないよな」
『火山があるんだ、ゾーン構成が同じとは考えにくい。魔物が入り乱れてる割には恐竜も見当たらんしな』
「そこまでの影響が無かったんじゃない?亜熱帯からスライムまでだと思うけどな。あ、あそこにコカトリスがいる」
『狩るか?』
「お願い。肉が美味いからね」
俺が了承の返事をし終わる前にギンはもう走り出していた。尻尾を振り回し風刃を飛ばしてコカトリスの腕やら尻尾やらを切り飛ばしている。落としやすい首を切らなかったのはドロップ品を残すためだな。
手負いでも石化攻撃は出来る。俺は一定の距離を保ちつつ雷矢をばら撒いて止めを刺していく。この雷矢、あまり出番はないんだけど使い勝手が良いんだよね。風矢だと仕留め損ねる事があるからその分量をばら撒かなきゃならないんだけどさ、雷の矢だから例え外して地面に突き刺さったとしても、そこから雷が走って感電死しないまでも動きを制限できるんだ。落ち着いて追加攻撃を仕掛ける事も出来るし、ギンやハクが手を出してもドロップ品になる優れものだ。今後はもっと使っていこう。
ここまで移動してくる間にコカトリスにスライム、ユニコーンに羊、馬は見かけた。だが豚や鹿、バジリスクは見ていない。生存競争に勝てなかったのかな?豚と鹿は魔法ゾーンでも弱小だから分からんでもないが、スライムが生き残ってるのには驚いたな。それにバジリスクって意外と弱かったのか?コカトリスとどっこいどっこいだと思ってたよ。
いや違うな、湿地帯が無いからだな。
お読みいただきありがとうございました。




