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俺の話にいちいち突っかかって来るマレさん。それでこそマレさんだ。
「何度も生まれ変わりをする中でいろいろな役割を経験して魂は成長していくんだと思うんですよ」
「はあ?」
「例えばですけどね、マレさんと旦那さんは夫婦でしたよね。だから次は親子とか兄弟とか親友とかいろいろなポジションを経験していくって事なんですよ。同じ魂のグループに所属している同士が形を変え、立場を変え、性別を変えて何度も何度も生まれ変わりを果たしてどこかの地点で交わっていくんです。格好よく言えば運命が交差する?とか」
「何の為にさ」
「自分が成長する為ですよ。実際に経験してみないと分からない事ばかりでしょう?殴られると痛いって言われたって、実際に殴られてみないとどのくらい痛いのかとか分からないでしょう?そう言う事ですよ」
「あんたの話は突拍子もない事ばかりだね」
「そうかな~。でも想像してみると楽しくありません?今夫婦であるこの人と次はどんな形で出会えるんだろうって思うとさ」
「・・・」
「マレさんだったらどんな言葉をかけますか?もし出会った人が前世て旦那さんだったと気付いたら、どんな立場で出会ってどんな関係にしたいですか?」
「そんなもん分かりゃしないよ」
「想像ですよ、妄想でもいいですけどね」
「・・・もしそんな事があったら全力で殴ってやるさ。あたしより先に行っちまいやがって、タコ殴りにしなきゃ収まんないね」
「お~こわっ。それじゃ旦那さんも全速力で逃げますよね」
「はんっ、望む所だよ」
「ははっ。まあ実際に気付く事など無いでしょうけどね。生まれ変わる時に前世の記憶は封印されるって話ですし。覚えていたらそれは奇跡でしょうね」
「封印される?」
「そう。何百、何千回と生きた記憶をそのまま持って生まれてきたら大変な事になりますからね。気がおかしくなっちゃうんじゃないですか?自分は何者なんだってな具合に」
「あんたの話で言ったら、あんたとあたしの出会いにも意味があるって事なのかい?同じ魂のグループって事かい?」
「どうでしょうね。全ての出会いがそうとは限りませんしね。もしその人に他の人には感じた事がない引っ掛かりが芽生えたとしたら、それがたった1日だけの出会いであったとしても必然なんでしょうね。魂の繋がりが深い人同士はより近い関係になるんでしょうしね、良くも悪くも」
「悪いってのは何だい?」
「親子の関係、兄弟の関係、友人としての関係、何も問題が起きない方が珍しいでしょ?来世では喧嘩が絶えない仲だったり相容れない立場であったりするかもしれない。逆にベタベタの関係かもしれない。その全てが学びって事なんでしょうね」
「非科学的であり哲学的でもある考え方だね」
「そうですね。これを証明するためには途方もない年月がかかるでしょうね。マレさん、ご家族の特徴や性格なんかを細かく書き記して後世に残してみてはどうですか?何千年後かに生まれてきた時、その記録に巡り合うかもしれませんよ」
「馬鹿だねあんた。誰がするかい、そんなアホな事」
「あれ?研究者の血が騒ぎませんか?」
「騒ぐわけないだろ。あんたと話してたら何もかもがアホらしく感じるよ」
「失礼な」
「ふんっ」
鼻で一笑したマレさんは自室に戻って行った。
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