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あぁ・・俺は何だって余計な事をしちまったんだ・・。
俺が道花している花が咲いてる付近一帯に突風を吹きかけてるそいつを前に俺は頭を抱えた。
湿地帯を確認した後、次の指定先を山にしたんだ。幾重にも山が連なってできているローヒルミ山脈、そのもっとも手前の少し低い山の頂上を指定したんだ。
そして辿り着いた先には寝そべって荒い鼻息を立てているそいつがいた。鼻筋しか見えてないから寝ているのか起きているのかはここからじゃ確認できない。ただ鼻息が突風のごとく吹き付け、俺が道花している花を含めて辺り一帯の草花が強風に靡いている。
一応何か確認しておくか。種族は分かっているが色をね。ローヒルミ山脈にいる魔物など1種類しかいないからな。
それにしたってさー、何でよりによってこいつの前に連れてくるのよ!大雑把に指定した方が良いと思ってたけどさ、まさかドラゴンの目の前に運ばれるとは思ってもみなかったよ。
そっと全体像が見える位置に移動を開始する。数歩後ろに下がる感じで花を移動して行く。この辺は前と変わらないな、花の根同士をツイ、ツイと移動して行く。
おや、赤竜さんですね。以前お食事現場を見学させていただいた赤竜さんと同じ方でしょうか?
『リク、狩ってくだろ?』
「えぇ」
『うむ、絶好の機会だな!』
『それにしても油断し過ぎじゃないのか、こいつ』
『ここに我らの敵なんぞおらんからな』
「なるほど、それで優雅にお昼寝ですか」
『前言っていたよな?狩れるなら狩ると』
「言ったかな?」
『我も覚えておるぞ』
「まいったな。赤竜って事は火だから氷か?」
『雷か氷なら氷だろうな』
『魔力をケチるでないぞ』
「はいはい」
今の魔力残量は7割って所かな・・・いけるか?
「今ある魔力使い果たすと動けなくなるんだけど・・」
『あとは任せておけ』
「いやいや、任せてって言ってもさ、ドロップ品回収もあるんだよ?」
『かまくらで囲っておけばよかろう?』
「その魔力が残るかどうか分からないんだけど」
『回復薬があるだろ』
「それ外に出ないと飲めないじゃん」
『ふむ、面倒だの』
『外に出ればいいだろ、その間の警戒は任せろ』
「すぐに他のドラゴン飛んでこないよね?」
『近くにいるのでも数分かかるであろう。急げば間に合うぞ』
「マジかー」
『外すなよ』
「マジか~」
でもここで逃げるとな、ずーっとチクチク言われるだろうしな。幸い相手は寝ているし、ここは覚悟を決めてやりますか。
氷魔法を使うとして、どう使う?特大つららを落とすか?首筋に狙い通り落ちればいいが、万が一寝返りでも打たれて外れたら一転ピンチに立たされるのは俺の方だ。少しぐらい動かれてもカバーできるような攻撃が良いよな。
よし、あれにしよう!一撃で決まりますように!!
お読みいただきありがとうございました。




