表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーリンの花のように  作者: きみあきつき
802/896

756

 ついに辿り着いてしまった、スライムゾーン。正確にはまだ魔法ゾーン側にある境界線の林の前だが。足が動かなくなっちゃったんだよな、嫌すぎて。

 ギンとハクも現実逃避からか魔法ゾーンの魔物を探してウロウロしている。諦めろ、ここに辿り着くまでに近辺の魔物は片っ端から狩っちゃっただろう。皆スライムゾーンに着くのを遅らせようと魔物狩りに精を出していたからな。


「ギン、ハクそろそろ行くぞ」


 俺の声に反応してこちらに顔は向けてくるがやっては来ない。もう1度声を掛けると仕方ないとばかりにのろのろと動き出す2体。


「嫌なのは分かってるからさ、ちゃんと休憩入れるから」

『恐竜ゾーンまで突っ切るんじゃないのか?』

「それすると気分転換できないから最初みたいに魔法ゾーン側で狩って行こう」

『うむ。中に入ると出て来れぬからな』

「そうそう。それに恐竜ゾーンまで行っちゃったらまた折り返して戻って来なきゃいけなくなるしな。川沿いを道花してくるという手もあるけど、魔法玉集めがメインだからな~」

『休息できる分こっちの方がマシか』

「そっ。じゃあ行きますか」

『ちょっと待てっ』

「何?」

『提案がある』

『ふむ?言うてみよ』

『ずっと考えていたんだが、俺も攻撃側に回りたい』

「えっ、いや、それはさ~」

『我が回収せよと?』

『いいや。もう1体いるだろ、あいつにやらせる』

「・・それってライ?」

『そうだ。ここは奇襲もほとんどない。護衛は必要ないだろう』

『ほうほう、それは名案だな!奇襲があったとしても我らで十分対応できるからの。良い案だな、ギン』

『そうだろう。たまにはあいつにも働かせるべきだ』


 ギンの言う事も分からんでもない。ここの奇襲は空からやって来る大鳥とかグリフォン、斑大鳥が殆どだ。急接近されてからでも反応は捉えられるし対処できる。ぶっちゃけライを離しても問題ないからな。

 だが答えは分かっていても念の為本人に確認はしとかないとな。


『やだ』

「だろうな」


 怠け者だもんな~。俺にへばりついてる時だって居眠りしてる事が多いもんな。この間の狂緑竜襲撃事件の時だってドロップ品の回収を手伝わせるのに苦労したし、納得させるのは難しいかもな。


『お前も少しは協力したらどうだ』

『我の仕事、主守る』

『ライよ、ここは危険も少ない。離れても問題なかろう』

『そうだぞ』

『我、主守る』

「それは分かってるよ。十分有り難いと思ってる。ただちょっとだけ手伝ってくれないか?ライが手伝ってくれれば早く終わると思うんだよ」

『・・・・』


 あれこれ言い募っても頑なにうんと言ってくれないライにギンとハクも段々と苛立ってきていた。そしてついにギンがライに噛み付いた!?


『いっ、ギャッ~~』


 俺まで届かない絶妙な加減で俺に纏わり付いているライに噛み付くギンと、予想外の攻撃に対処できず悲鳴を上げるライ。

 同じホムンクルス同士だが元々持ってる魔力量と元の魔物能力で序列はある。その結果、今回のようにギンがライに攻撃を加えた場合ダメージが入るようだ。逆はノーダメージみたいだな。力の差が拮抗してれば別だが。

 そんな事を俺から無理やり引き剥がされてじゃれ合ってるギンとライを面白そうに眺めているハクから聞かされた。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ