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スライムゾーンとの境界線まで戻る前に咲いてる小さな花を見つけた。踏まれてペチャンコになってるけど、枯れてはいないから大丈夫だろう。こんな所に咲いてるくらいだから生命力が強いんだろうな。
まだ昼過ぎだが早速道花して休む事にした。
恐竜ゾーンでは通常サイズのかまくらを作って休息する事が出来ないから、食事も立ったままで食べる事が多い。サンドイッチとかホットドック、おにぎりなんかの片手で食べられる物が重宝する。もしくは一旦川沿いか境界線の林まで戻るかだな。だから川が見える範囲で進んでいた。
今回みたいなハプニングが無かったらこんなに奥まで入る事はなかっただろう。
ぐっすり休んだ次の日、このまま北奥へ向かう事に決めた。
『よいのか?また下に落ちるやもしれんぞ』
「事前に分かればいいけどね。スピードが速すぎて気付いた時には手遅れだもんな。ハクたちでも補足は難しいか?」
『そうだな。地上の魔物に気を取られてると発見が遅れるな』
『うむ。気付くのと足場が崩れるのに差があまりないしのう』
「なら仕方ない。下に落ちて対応するしかないな」
『面倒だな』
「他に手が無いからね」
『おい、来やがったぞ』
『大虎だの。周りで戦闘など始まっておらんのに何でやって来たのだ?』
『リクが食ってるもんの匂いだろ』
「んぐっ・・これ?こんなのの匂いも分かるの?小さいソーセージだよ?」
『十分だろ』
『うむ。奴らにとってはそそられる匂いであろうな』
どうやら俺の食べていたホットドックに挟まっているソーセージに釣られてやって来たらしい。前方を見ると俺達目がけて一直線に駆けて来ている。
まだ朝ご飯の途中だって言うのにこれじゃあおちおち食事もできやしないよ。
大虎たちの位置はまだ遠いが、奴らの移動スピードは速いからあまり引きつけ過ぎるとこっちが危ない。だから風矢を広範囲にばら撒いて少しでも足を止めさせる。駄目押しで地面も泥沼化させておく。後はギンとハクにお任せだ。
2体が止めを刺してくれている間に、残りのホットドックと追加でカレーパンを食べて腹を満たしておく。
俺が食事を済ませて追い付いた時には全て終わっていた。周りの警戒をギンとハクに任せ、ドロップ品を回収する。
『次はどっちだ?』
『近いのは首長だがマンモスもおるぞ』
「マンモスは後回しでいいな。自分から参戦してくる事も少ないしな」
『分かった』
俺の返事を聞いた途端ギンは首長竜の元へ駆けて行ってしまった。朝から元気だねー。そんなに急がなくても奥に入った事でワラワラいるのに。
「ハクは行かなくていいのか?」
『主を守るのも我が勤めだからの』
「ライがいるけど?」
『任せておけん』
「だってさ、ライ」
『・・心外』
『何を言うかっ、怠け者め!』
「あはははっ、言われてやんの」
『・・・傷ついた。今日はやる気なくなった』
『何時もだろうに』
「そうだな。今更だ」
さて、ライをいじるのは一先ず置いといてギンの応援に行きますか!
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