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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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【バージの苦難3】

いつもお読みいただきありがとうございます!

ここからおまけ回が続きます。

本編との時系列が少しずれていますがご了承ください。

 何とか馬車の御者に頼んで試作した座席を使ってもらえる事になった。取り敢えず最初の休憩所まで使用してもらい、駄目だったらそこで回収する予定だ。座席は自分で試す分と御者分2つ持ってきている。


 早速座席に座り馬車の出発を待つ。本来は厚みがあるから他の乗客より頭一つ分位視点が高くなるはずだが、ドワーフの俺にはちょうどいい。座席には外れない様に紐を付けていて、背もたれの部分に結んで固定できるようにしてある。


 試してみて分かったが、クッションとバネが衝撃を吸収しているせいか想像以上に快適だ。他の乗客は道が悪い所があると跳ねるような、浮き上がるような事があるんだが、俺には尻に衝撃が当たって痛みが走る事がほとんど無かった。今まではそれが当たり前だと思っていたが、こうしてみると全然違うな!


 休憩所に着くと御者が興奮したように詰め寄ってきた。

「おい、この座席ってやつは凄いな!?視点が高くなって見晴らしがよくなるし、何より腰が痛くなんねえ!」

「おお、そうか?もっとこうした方がいいとかあるか?」

「うーん、これで十分だと思うがもっとしっかり固定されるとなおいいかもな」

「そうか。ありがとよ」

「おう!所でこのまま使い続けていいか?」

「いいけど、野宿の時はいったん回収するぞ」

「分かった!」


 御者は上機嫌で戻っていく。最初は渋っていたくせに現金なもんだ。

 だが思った以上の効果に自然と頬が緩む。頑張った甲斐があるってもんだ。あのバネには苦心したからな。


 馬車が出発すると他の乗客が話しかけてきた。御者との会話を聞いていたらしく、座席に興味を持ったようだ。

 俺としてはもっと他の人間の意見も聞いてみたかったから、順番に座らせてみる事にした。

 この座席は馬車の座席幅に合わせて2人座れるようになっている。通常の馬車は真ん中に通路があり、左右に2人づつ座れる作りになっていて最後尾だけ4人座れる12人乗りだ。


 試させた乗客達にも好評で、中には買い取りたいと言ってきた奴もいたが試作品だからと断った。

 いつ売り出されるのか聞かれたが、売り出すとしたら使っている素材が高価だから高くなると言ったら残念がっていた。もしこれを商品化するような事になったらまたあのバネを量産せねばならない。正直ごめんだ!

 俺は早くこの仕事から解放されたいんでな、商品化するつもりは全く無い。

お読みいただきありがとうございました。

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