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「うわっ!ちょっと、まっ!?」
俺は今、鞭のようにしなって振り回してくる木の根から必死に逃げ回っている!あっぶねー、地面から振り上げてかかってくるそれを何とか躱し木の陰に隠れる。一息ついて、奴に見つからないようにしつつリズさんの様子を窺う。
リズさんは奴の振り回す根をかわしながら冷静に枝を切り落としている。
やっぱ凄いなー。感心しつつ胴体に向かって風刃を叩きつける。まとめて太くした風刃が斜めに入り木が倒れる。
「よくやった!怪我はないか?」
「はい、大丈夫です。これってトレントってやつですよね?」
「そうだ。動き回るとはいえ木だからな、火に弱いのだがこんな森の中で火を使う訳にはいかんのが厄介だ」
「確かにそうですね。それに枝や根を振り回してくるので迂闊に近づけないのも厄介ですね」
「ああ、それにさえ気を付ければ倒すのは簡単なんだがな」
「いやいや、それが難しいんですよ?どこから来るか分かりませんし」
「それにしては上手く躱せていたぞ!」
「ありがとうございます。こいつのドロップ品って大量の木材と魔石だけですか?」
「基本それだけだぞ?建築材として高値が付くから出来るだけ持って帰ろう!」
「そうなんですか?でもこれ、収納ボックス持ちが居なかったら大変ですね」
「そうなんだ!だから最初からトレント狙いで来るか避けて行くんだが、リクが居るから倒す事にした!」
嬉しそうにドロップ品を集めながらこちらを見てくる。
そんな笑顔全開な顔を見せられると、土だらけになりながら戦った甲斐があると言う物だ。ここに来るまでにも結構な数の魔物を倒してきたのだが、余程トレントは利益があるらしい。
今いる所はいつも俺独りで来ている場所より少し奥に入った所だ。大蜘蛛の糸を取りに何度か来ていたが、少し進んだだけでいろんなのが出てくるな。マンイーター、つまり食人植物にも遭遇した。色々種類があるようで、中には薬の材料になる物もいるそうだが面倒なので今回は回避する事にしていた。
あとは、大蜂だな!これは毒針持ってて群れてるから厄介なんだが、巣から蜂蜜が取れる!しかも美味しくて高値も付くので出来るだけ狩っている。リズさんの好物らしく目の色が変わっていた・・
大蜂と言うだけあって俺の頭位あるから的としては狙いやすかったが、何カ所か刺された。俺には状態異常耐性があるし、回復魔法のキュアがあるから問題なかったけど痛い物は痛い!リズさんなんか華麗に避けていたし、俺ももっと鍛錬しないとな。
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