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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 家に帰るとマイルズさん達以外誰もいなかった。


 サラとダイは孤児院で、リズさんも剣術を教えに孤児院に出掛けたそうだ。

 メルも出掛けていると聞いて、もしやラデス殿下とデートか?って思ったらフィナちゃんの所に行ったそうだ。

 フィナちゃんっていうのは、メルが孤児院で一番仲良くしていた女の子だな!裁縫が得意でメルに裁縫スキルが出た切っ掛けでもある。今でも服屋さんにお針子として勤めているはずだ。


「旦那様、ロイ様からお手紙が届いております」

「ロイから?」


 差し出された封筒を受け取り、リビングのソファーに座って読む事にした。

 すかさずミトさんがコーヒーを入れてくれる。お茶菓子はマトさんお手製のタルルのパウンドケーキだ!これ美味しいんだよね~。


 え~と、何々?

 無事モルザット国の王都までご両親を送り届けたようだな!それから、要塞の街モザットまで足を延ばす事にしたと書かれている。

 暫くモザットの魔の大森林で活動するから帰って来るのが遅くなるそうだ。


 ん~・・・せっかくモルザット国まで行ったんだから、ついでにって気持ちはよく分かる。しかしロイよ・・いいのか?今メルから目を離したら大変な事になっちゃうぞ?

 俺は口出せないけどさ、ロイが帰ってきたらメルから話があったりするんじゃないかと思ってたんだ。ロイがどう答えるか気になってたのにな。後で後悔しても遅いんだぞ?

 あの後メルとラデス殿下がどうなったのかは分からない。気にはなるけど俺からは聞かない様にしようと思っている。と言うか、怖くて聞けない。



 帰って来たメルの様子に特段変化は見られなかった。もしラデス殿下と付き合う事になってたら、もっとこう幸せオーラみたいのが出ると思うんだけどな?

 まあ、進展が無いならないでいいけどね!


 今日の夕食はハンバーグだ!皆大好きハンバーグ!!

 サラもダイも、メルだってニッコニコだ!!もちろん俺とリズさんも!!


「今回はやけに帰るのが遅かったな?」

「それが、途中で奥まで入り過ぎた冒険者達に遭遇して、一緒に帰って来る事になったんですよ。トンネルまでですけどね」

「魔法ゾーンでか?」

「亜熱帯ゾーンの西奥ですね」

「リクが通るルート上にいたって事は、相当奥まで入って行ったんだな?」

「ええ、魔法武器を手にした事で気が大きくなっていたようです」

「なるほどな。いつかは出るだろうと思っていたが、意外と遅かったな?」

「最近になってBランク冒険者に貸し出されるようになったそうですよ」

「Bランクでそれか・・」

「ザックさんもそんな反応でしたね」

「強力な武器を手にして自分を見失ったか。そういう奴が1人でも出れば話が広がって、他の奴らも気が引き締まるだろう」

「そうあって欲しいですね。それでですね、冬までまた入るんですけど、今回の事で予定がずれちゃったんで帰りが遅くなるかもです」

「どこまで行く気なんだ?」

「魔法ゾーンですね。流石にスライムゾーンまではちょっと難しいかと?」

「そうか、分かった」


「ねえリク兄」

「ん?どうした?」

「羊毛って手に入りづらいの?」

「羊毛?魔法ゾーンのか?」

「うん。フィナちゃんのお店でね、お客さんから羊毛を使ったコートを作って欲しいって注文があったけど、素材が手に入らないって話を聞いたの」

「まだ他の冒険者達が辿り着いて無いからなー。今回は俺に依頼が来て魔法ゾーンの素材を取ってきたけど、フィナちゃんの所まで届くかは分からないな?」

「やっぱり貴族の人達の所に行っちゃうの?」

「それもあるし商会が確保しちゃうかもな」

「そっか・・」


 メルの耳がペタンってなっちゃった。冒険者ギルドに売却する前だったら直接売る事も出来たけど、時すでに遅しだ。

 情報がもう出回っているだろうし、手に入るかは微妙だな。

お読みいただきありがとうございました。

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