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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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624 リクとメル

「あのね、リク兄」

「うん・・」

「ラデス王子様がね、あのね・・」


 メルの顔が赤みを帯びてきた。これは、まさか・・お付き合いする事になっちゃったのか!?いや、落ち着け、相談って言ってたぞ。

 意を決したように俺の顔を真っすぐ見たメルの口から飛び出した言葉に、俺は息が止まる思いをさせられた。


「ラデス王子様がね、家族になりたいって・・。私と家族になりたいって言ってくれたの!」


 はぁ?何でいきなり家族だよ!?普通お付き合いが先でしょうがっ!

 あんの王子め~~~、段階をすっ飛ばして何て事言うんだよ!!

 いや、俺も人の事言えないけど・・・でもほら、俺の場合は逆だったし。それも男としてどうなのかって事なんだけど、それは一先ず置いといて。


「そ、それでメルは何て答えたんだ?」

「ラデス王子様は凄いねって」

「は?」

「返事は急がなくていいからって。ラデス王子様は私の事、よく分かってくれていたの」

「え?どこが?」


 いや、単純に今の言葉のどこにメルの事をよく分かってる部分があった?


「今の私は家族と一緒に居る事が大事で、自分に出来る事を一生懸命探してるって。だからゆっくりでいいからって」

「・・・・・」

「へへっ、誰にも話した事がないような事にまで気付いてて、ビックリしちゃった」


 そう言ってメルが嬉しそうに笑っている。破顔ってやつだな。こういう笑顔を見るのは美味しいお菓子を差し出された時とか、よく見るな!うん。


「そうか・・メルがまだ小さい時から知っているんだもんな」

「そっか!そうだよね」

「メルはどう思ってるんだ?ラデス殿下の事」

「えっとね、凄く優しくて、いつも気にかけてくれて、私が気になってた物とか後でプレゼントしてくれたりね、お兄ちゃんみたいだなって思ってたの」

「うん」

「でも、家族になりたいって言ってくれて、ビックリしたけど嬉しかった」

「そっか」


「メル。前にずっと俺の傍に居るって言ってくれた事、忘れていいぞ」

「え?」

「ずっと一緒に居てくれるって言ってくれて嬉しかったよ。今でも近くに居て欲しいって思ってる。でもさ、それ以上にメルに幸せになって欲しい」

「・・リク兄」

「だからさ、本当に好きな人が出来たら俺に遠慮なんかするなよ?メルが一緒に生きて行きたいって思えた人がいたらさ、迷うなよ?」

「・・・・」

「たとえメルが遠くへ行こうと俺が会いに行くからさ。メルが来るなって言ったって何度でも会いに行くよ」

「そんな事言わないよ・・」


 メルの大きな猫目からボロボロと大粒の涙が流れていく。

 くそっ!泣きたいのは俺の方だっ!!


 でもさ、泣き笑いしながらありがとうリク兄って言った顔が最高に可愛かったから、これでいいんだと納得するしかないよな。

お読みいただきありがとうございました。

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