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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 渡したマフィンをペロリと平らげ、ゴクゴクとお茶を飲み干したダントさんにお茶のお代わりを入れてあげた。お茶はリーザス国のハオの茶だ。

 俺の分のマフィンに視線が行っているのに気付き、もしかしてご飯食べてないんですかって聞いてみたら、朝から何も食べていないと返って来た。

 食堂は1階にあるから行くのが面倒だし、椅子に座るとどうしても資料が気になって目を通してしまうそうだ。そうするとお腹が空いている事を忘れて没頭してしまう、と。


 研究者じゃなくて、研究員って人種は皆こんななのかね?

 食堂に料理を頼むと研究員用のカードからお金が払えるシステムなんだって。ギルドカードみたいなものか?

 そのカードに給料も振り込まれるらしい。


 しょうがないので惣菜パンをいくつか取り出してあげた。惣菜パンを食べた事が無かったらしく、パンの中からジャーマンポテトや卵サラダが出て来た事に驚いていた。


 何か餌付けしてるみたいだなー。真っ白い髭にパン屑を付けながら一心不乱に食べている姿を見ていると、何とも言えない気分になってくる。

 まったく本題に辿り着けないな・・・


「ご馳走様!とっても美味しかったよ!」

「それは良かったです」

「君はどうして病気になるか知ってるかい?」

「考え方が病気を作る?ですか?」

「そう!でもね、それだけじゃないんだ。そもそも考え方で病気になる人の割合は多くても3割くらいだからね。この国だけだけどね」

「そうすると、食べてる物?偏食とか?」

「その通り!君、分かってるじゃないか!!」

「ありがとうございます」


 やっと来たか!いきなり始まった講義だが、これが聞きたくてこんな所までやって来た上に掃除までしたんだ。ついでに餌付けも・・


「肉、野菜、魚、果物、どれかに偏っちゃ駄目なんだよ!いいかい?栄養のバランスが崩れる、それすなわち、心と身体のバランスが崩れる事に繋がっていくんだよ!」

「なるほど」

「考え方と栄養バランスそのどちらか、もしくは両方が悪いと病気になり易いんだよね!」

「ほうほう」

「でね、栄養バランスが悪くて病気になった場合はまだ原因が分かり易いからいいんだ。普段の食事を聞いてこれが足りないですよって言えるだろう?」

「そうですね」

「厄介なのが考え方で病気になる方なんだ。考え方と言うか性格だね?」

「性格ですか?」

「そう!特に内側の病気になる人の割合が多かったね。それでも4割には届かないけどね」

「いえ、それでも十分多いと思います」

「だろう?まさか自分の考え方や性格で病気になるなんて思ってもみないから、たとえ指摘したとしても治す事は難しいよね」

「そうですねー?その性格直せって言われて素直に聞き入れる人は少ないでしょうね?寧ろ怒るんじゃないですか?」

「そうなんだよ!僕なんて何度物を投げつけられたか分からないよ!病室のベットで寝てるのに凄い力で投げてくるんだよ!?ほんとに病気なのか疑っちゃうよね?」

「魔法でも魔法薬でも治らない人が居るんですよね?」

「万能薬を使えば治るかもね。でも市民に出せる額ではないし、それで言ったら教会の治癒魔法にもお布施と言う名の値段が付いてくるし、魔法薬もできに左右されるしね」

「確かに市民に出せる額には限度がありますもんね。でもずっと入院する事を考えるとどっちが安上がりなんですかね?」

「それはねー、借金って事になっちゃうからね。分割払いを認めてくれない所もあるしね」

「どうしてです?」

「返済できなくて逃げちゃう人とかいるからねー」


 何とも世知辛いと言うか、でも病院は行政担当なんだから国民カードとか市民カードとかで追跡できるんじゃない?

 まさか国外逃亡まではしないだろう?しないよな?

お読みいただきありがとうございました。

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