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予期せぬ出来事が多々起こった事もあって、帰る脚は亀のごとしだ。
秋が終わるまでに帰り着けばいい精神でゆっくり移動している。噴火の事も気になるし、辛うじて遠見で火山の様子が窺える距離をキープしている。
だからもう暫くはこの亜熱帯ゾーンで魔物狩りと薬草採取だな。薬草の葉にも火山灰が付着している事を考慮して、採取する前に水魔法で辺り一帯に雨を降らせ、風魔法で風を起こし水分と汚れを吹き飛ばしてから採取している。
手間はかかるけど、すでに依頼分は終わっているんだから急ぐ事も無しだ。
『ところで主よ、レベルは上がったのか?』
「レベル?」
『そうだ。暫く上がってないと言っておったでだろう?』
「ああ、ちょっと待って?」
「えーっと、あっ、上がってるな!前回が83だったのが88になってる。一気に5つも上がってるよ!」
『何?そんなものなのか?』
「そんなものって、必要な経験値が増えてる事を思えば十分凄い事だと思うけどね?と言うか何でそんな事気にするんだ?」
『レベルが上がらんと嘆いておったではないか』
「ん~?そうだっけ?・・・ハク?もしかしてそれで俺を火山に連れて行ったのか?レベル上げの為に?」
『主のレベルが上がらんと先に進めんからな!』
「それは竜種に挑むのはって事でしょ?」
『そうだ』
「前から聞きたかったんだけどさ、ハクは俺が仲間のドラゴンを倒す事に何とも思わないわけ?」
『我らは竜種と言う仲間ではあるが群れる事はない。あくまでも個だ』
「だから気にならないって事?友達とかいないの?」
『顔見知りはいるがな、だからと言って主が倒した所で何もない』
「ふ~ん?そういうもんなんだ・・」
『出来れば早く辿り着いて欲しいのう』
「何で?理由は?」
『増え過ぎているのだ。我らを倒せる者がおらんからな、増えていくだけだ』
「寿命は無いの?」
『無くはないが何百、何千って先の話だな。気が合わん奴とやり合う事もあるが、よっぽどでなければ殺したりはせん。あとはまあ、我のように魔に侵されて自ら死を選ぶほかない』
「そっか・・」
『おいっ、さっさと片付けろ!移動できん』
ハクとの話でしんみりしている所へ、周囲の魔物を吹き飛ばし俺の前に積み重ねていたギンが戻って来る。俺達が話し込んでいる間ずっと駆け回っていたギンだが、まだ動き足りないらしい。
仕方なく目の前で行動不能にされて横たわっている魔物たちに止めを刺し、素材を回収していく。
よく考えたらレベル83の時にもこうやって魔物を倒していた分が経験値として溜まっていたはずだから、王サラマンダーを倒した事で上がったレベルは実質4つって事か。それでも凄い事に変わりはないんだけどね。
森尾 陸 36才 SP8527
人族 Lv88
スキル
体術Lv5 身体強化Lv5 剣術Lv1 魔力上昇Lv5 魔力制御Lv5
魔力感知Lv5 危険察知Lv5 魔力隠蔽Lv5 気配遮断Lv5
風魔法Lv5 水魔法Lv5 火魔法Lv5 土魔法Lv5 回復魔法Lv5
雷魔法Lv5 氷魔法Lv5
状態異常耐性Lv5 物理耐性Lv5 魔法耐性Lv5 料理Lv2
暗視 遠見 鑑定 索敵 隠蔽 隠密 罠察知 罠解除
固有スキル 言語翻訳 収納ボックス 道花
ロイ 23才
猫族 Lv49
スキル 体術Lv2 身体強化Lv2 剣術Lv2
メル 18才
猫族 Lv18
スキル 体術Lv1 身体強化Lv1 裁縫Lv1 料理Lv1
リズ 37才
人族 Lv61
スキル 体術Lv3 身体強化Lv3 剣術Lv3
サラ 6才
人族 Lv1
スキル 身体強化Lv1
ダイ 4才
人族 Lv1
スキル 身体強化Lv1
お読みいただきありがとうございました。




