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リビングに入るとリズさんがダイを抱っこして座っていた。サラはリズさんの隣でぬいぐるみを抱えて遊んでいる。
マトさんとマイルズさんはキッチンで何かしているな?
「ただいま帰りましたー!」
「「お帰りなさいませ、旦那様」」
「お帰り」
俺はリズさんの正面のソファーに腰を下ろす。メルも俺の隣に座る。
ソファーを下りて俺の方に寄ってきたサラを抱き上げて膝に乗せる。重くなったな~。2年の歳月を感じる。俺の事を覚えているのかいないのか・・サラは俺の顔をじっと見ている。泣かれないだけマシだろうか?
マイルズさんが入れてくれたお茶を飲み一息つく。
さて、さっきのメルの反応が気になるんだが聞いてもいいのかな?
「リク、いくつか報告がある。通信機では話せなかった事だ」
「何かあったんですか?」
「まずは空蜥蜴の襲撃があった。だが規模が小さかったし宮廷魔導士と王国軍がいたからな、大した被害もなく終わった」
「そうですか。俺が心配するから伝えなかったって事ですか?」
「そうだな。リクの事だから気が散るかもとは思ったな」
「・・・そうですねー、もっと早く帰っていたかもしれませんね」
「次にロイの事だ。ロイと『月にてらされし竜』のメンバーは全員Bランク試験に合格した」
「おおっ!?それは目出度いじゃないですか!!何故教えてくれなかったんです?ロイが直接報告したかったとかじゃないですよね?今リズさんから聞いてるわけですし」
「そうだな。まあなんだ、次の話に関係するというか・・」
何だろうな?リズさんがこんなに言いにくそうにしているとは?顔もちょっと苦虫を噛み潰したような表情になってるぞ?
「ロイと『月にてらされし竜』はしばらく一緒に活動する。仕事が入ったからだ」
「ロイと『月にてらされし竜』にですか?」
「そうだ。短くとも2~3年はともに活動する。長期依頼なんだ」
「・・・えっと、どんな依頼なんですか?」
「護衛依頼だ。魔の大森林の研究に来た者を護衛する」
「と言う事は辺境にいるんですよね?家には帰って来るんですか?」
「帰ってくる。大体2~3ヶ月籠って帰って来ているな」
「そうなんですね。一緒に活動できるかと思ったんですけどね~」
ロイとまた一緒に居られると思っていただけにがっかりだな。
隣に座っているメルが心配そうに俺の顔を見てくる。俺はメルの頭に手をやり撫でる。がっかりはしてるけど傷ついたわけじゃないから大丈夫だよ?
「それでな、その研究者なんだが・・・」
「はい?」
「外にテントが張ってあっただろう?」
「ああ!ありましたね。あれって何ですか?」
「研究者が住んでいる」
「はっ?えっと、テントに?何でうちの庭に?」
「魔の大森林を感じたいそうだ」
「・・・・・」
「リク兄!あのねっ。リズお姉ちゃんのお父さんとお母さんなの!!」
「え?何が?」
「だからね、テントに住んでる研究者さん!!」
「ふぁ!?」
俺、固まる。抱っこしていたサラがビクッと身体を跳ねさせた。
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