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「ふむ?ではその魔だまり自体をどうにかするのはいかんと言う事か?」
「どうにかする必要が無いですね。潰せば他の場所に出るだけのようですし。それに1つ大きな魔だまりを作る事が良い事とは思えませんし」
「そうかー。ではやはり魔物を狩るしかないか・・」
「そう思います。後は今クルスルス国が始めているようにお祭りを開催して楽しみを与える事でしょうか?」
「うちの国にも建国記念日には宴を開催してるが、もっと規模を拡大するか?どう思うダグナス?」
「そうですね。この街はそれでいいとして、集落の方でも何か考えるべきかと」
「そうだなー。クルスルス国では大都市しか祭りはやらんのか?」
「いえ、小さい集落でも小さな祭りはあるようで、補助金を出しているみたいですよ?後は王都でも数日に亘って開催するそうです」
「なるほどのー・・・ただの祭りでは面白くないよな?」
「ただ飲んで食べるだけですか?獣人達は戦うのが好きなんですよね?そういう武闘大会みたいなものは無いんですか?」
「勿論あるぞ!!軍人だけだがな!」
「一般は参加できないんですか?」
「そりゃ何時も鍛えてる者とは流石にの~」
「では軍人部門と一般部門を作ってはどうですか?その場合、冒険者は軍人部門でしょうかね?」
「鍛えているという意味ではそうなるだろうな」
俺は国王陛下から魔を減らす方法が他にないか聞かれていた。魔だまりを潰せば魔が減らないだろうかと問われたが無理だろうな。
だからクルスルス国でも提案したように祭りでもしたらどうかと勧めていた。
「その方向で武闘大会を拡大するのも良いか!細かい事は他の者に任せるのが良かろう」
「そうですね」
「ところでリクはコーメッコが好きなのか?商業ギルドから辺境のギルドが作付けを増やしてくれと要請が来てると言っておった。だから報酬にも入れたわけだが」
「ええ、好きですね!今は知り合いの人に頼んで分けてもらっています。それを商業ギルド長が知って仕入れてくれようとしていますね」
「そうか。美味いのか?酒の材料としてしか見てなかったから、食べた事など無くてな?」
「そのまま食べるとパサパサして食べづらいですね。ですからちょっと工夫して食べてますね」
「ふむ?どのように?」
「今辺境ではカレーパンというものが作られているんですけど知っていますか?これなんですけどね」
俺は収納ボックスからカレーパンを人数分取り出して、国王陛下とダグナスさんに手渡した。
俺は自分の分のカレーパンを半分に割り、これがカレーですと見せる。
「このカレーはパンに包む用にとろみを多くしています。なのでコーメッコを炊いて上にかけて食べる時にはもっとスープっぽいですね」
俺がカレーパンを頬張ると2人も顔を見合わせながら恐る恐る口に入れる。
モグモグと噛み締めていくうちに表情が驚きに変わって来て、残りのカレーパンを黙々と食べていく。
美味しいよね~カレーパン!!
「リク、冬の間はどうするつもりだ?」
突然の質問にパンが喉に詰まりそうになりながら答える。
「一冬過ごして残りの依頼分を終わらせて帰る予定ですね」
「冬にする事はあるのか?」
「何カ所か挨拶回りして後はゆっくり過ごしますね」
「そうか。では追加で依頼を出していいか?このカレーパンの作り方をうちの料理人に教えてくれんか?」
「それなら商業ギルドにレシピがあるはずですよ?」
「紙を見て作るより教えてもらった方が良かろう?」
「はあ。する事もありませんし、いいですけどね」
「そうかっ、では頼んだぞ!!」
国王陛下は嬉しそうに顔をほころばせて執事さんに何やら指示を出していた。
カレーの作り方を教えるぐらい大した手間でもないしまあいいか。
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