495
冒険者ギルドを出て王宮に向かう。王宮の中を通らないと魔の大森林に入れないからね。
なるほど!王宮の1階部分はアーチ形になっているのか!?これがトンネルの役割をしているんだな。鎖の付いた門扉が上に付いてるって事は滑車か何かで開閉しているんだろうか?
王宮は石造りの5階建てだな。これだけの高さがあれば十分に魔物を食い止める事が出来るだろうな。
アーチ形の門を通るには兵士にギルドカードを見せないといけないらしい。左右に1人ずつ兵士が立っているのが見えた。その兵士達が冒険者達からカードを見せられていたからな。
俺が近づいて行くと不思議そうな顔をして兵士が声を掛けてきた。
「見かけない顔だな?人族が来るとは珍しい」
「はい。依頼を受けてきました、リクと言います。当分リーザス国に居ますのでよろしくお願いします」
「そうか。カードを見せてくれ」
俺がカードを差し出すと、兵士の動きが止まった。カードを手に取ろうとしたままの格好で固まっている。またか・・・
「おい、どうしたんだ?」
異変に気付いた左側に居た兵士がやって来た。
そして俺のカードを覗き込んでそのまま固まってしまった。その様子を見ていた順番待ちの冒険者達まで集まって来てしまった。
勘弁してくれ・・・騒ぎになるのは困るんだよなー。俺は思わず天を仰いだ。
「あのっ!!通ってもいいでしょうか?」
大きめの声を出して兵士の意識を引き戻す。
「おぅっ、おおっ!?」
「あんたぁ・・・」
何か言おうとしている兵士を無視して強引にアーチ門の中に入って行く。こんな所で余計な時間を使いたくは無いんだ。もうすぐお昼になるし、少しでも先に進んでおきたい。
アーチ門の中はかなり広い作りだな。横幅は50メートル位ありそうだ。軍が移動する事も考えての事だろうか?それから壁に灯りの魔道具が取り付けてあってかなり明るくなっている。
そう言えばさっきの兵士達は初めて見た種族だったな。狼族と豹族だろうか?
狼族は犬族よりちょっとだけ口が長い。だが鬣が無かったから獅子族とは違うんだろうな。もう1人の方は水玉模様だった!?虎族なら縞々模様だから豹族じゃないかと思うんだ。
同じ種族でも毛や瞳の色がバラバラなんだよな。この辺は人族と同じでカラフルなんだろうな。
他にもまだ種族があるんだろうか?馬族とか羊族とか?
入口から出口までの距離は結構あるな?2キロメートルは無いと思うんだけど、かれこれ10分以上歩いている気がする。時間は見てなかったから正確な所は分からないな?
やっと出口が見えて来たな!日の光が差し込んでいて、ちょっと目を慣らしとかないと危険かな?魔道具の灯りは暖色系で日の光とは明るさが違うからな。
アーチ門を抜けると地面が剥き出しの広場が広がっていた!?そんでもって左右に3階建ての建物が建っている。
広場の一角で訓練している人達がいるな。揃いの防具を身に着けているからリーザス国の軍人かな?てことは、左右の建物も軍関連かな?
魔の大森林を切り開いて作ったのだろうか?魔の大森林と目と鼻の先に軍施設を作るとはねー、やる気満々だな!!
アーチ門から広場を抜けて魔の大森林に入るまでに200メートル位あるか?
この広場、魔の大森林と直接繋がっているしいつどこから魔物が襲ってくるか分からないよな?それも含めて訓練って事だろうか?
度胸を付けるにはいいかもしれない。俺はごめんだけどね。
お読みいただきありがとうございました。




