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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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50 小鳥の止まり木

 ギルドで教えられた道を進み宿を探す。

 もう夕方だというのに全く賑わいが変わらないな。人が多くて思うように進めないのでメルを抱き上げて歩く事にした。


「ロイも抱き上げてやろうか?」

「何言ってるんだよ、僕は大丈夫だよ!」

「そうかー?遠慮しなくていいんだぞ?」

「してないもん!」

 ニヤニヤしながら聞いたらロイが頬を膨らませて反論してくる。そういうところはまだまだ子供だな。

「なら手を繋いで行こう!」

「大丈夫だよ!」

「まあまあ、そう言わずに!」


 少し強引に手を繋いで歩く。これも愛情表現の内だ。


「あそこみたいだな。看板に鳥と木が描いてある」


「いらっしゃいませ」

 扉を開けて入って行くと、声が渋めの男性が出迎えてくれた。

「泊まりたいのですが空いてますか?」

「はい、1泊朝食付1人銀貨10枚になります。別料金になりますが食堂で夕食も召し上がる事が出来ます」

「では3人で5泊お願いします」

「はい、金貨1枚銀貨50枚になります。2人部屋でよろしいでしょうか?」

「ええ」

「ではこちらが鍵になります。お部屋は3階の手前側になります」

「ありがとうございます」


 ギルドカードで支払いを済ませ階段を上がっていく。

 思ったよりも安かったな。街が大きい分競争も激しいのかもしれない。


 部屋は思ったより広くベットとテーブル、椅子、備え付けのクローゼットに何と!小さいがお風呂まで付いていた!


「ここ本当に銀貨10枚なのか?」

「凄いねー!」

「おふとんフカフカ~」

「本当だ!凄いよリク兄!」

「確かに凄いな・・値段間違ってないよな?」

「受付の人が言っていたんだし間違いないと思うんだけど・・」

「何か不安になってきたが、間違ってたら言ってくるだろ」

「そうだね」


 移動と人出の多さに疲れていたので、夕食は宿の食堂で済ませる事にした。

 魚の蒸し焼きに肉野菜炒め、野菜たっぷりのスープとパンを頼んだがどれも美味しかった。


 部屋に戻る時に受付の男性に宿代の事を聞いたら、ラードンでは冒険者には割引が適用されるそうだ。首にぶら下げていたギルドカードに気付いて割引料金を提示したらしい。本来は銀貨13枚だがギルドランクが上がるほど割引幅が上がるそうだ。モリーさんが言っていた街ごとの優遇がこれか!銀貨13枚でも安いと思うのだが、大都市では部屋の設備などそもそもの基準値が高いのだろう。


 今日は早めに休もう。久しぶりにベットでゆっくり寝れる。

お読みいただきありがとうございました。

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