473 ご対面
さっき見た物を思い返す。目だけと言うかギロっと上向いた目ん玉しか見えなかった訳だけど、すっごいおっきな目玉だったな!
俺が近づいてた事に気付いてたって事だよな?スキル全開だったのに?
いや、強大な魔物だったら俺の遥か上のレベルになるんだし気付かれるのは当たり前かもしれないな。
しかしどうするよ、あれ倒さないといけないのかな?俺が?
道花出来ればまだ何とかなるけどさ、こんな所で俺にどうしろって言うのよ!?
『のう、主よ。やる前から駄目だなどと言ってはいかんぞ』
『そうだな。一度試してみればいい』
「そんな簡単じゃないでしょうよ!失敗したら死んじゃうんだよ?失敗したからもう1回最初からとはいかないんだからねっ」
『だがのう、あれをあのままにしとくのか?』
「そうは言ってもさー・・」
俺は腕組みして考える。そもそもどれぐらいの大きさがあって、魔法とか何を使ってくるのかも分からない。対策が立てづらいんだよな。
「俺だけの力じゃ無理だぞ。一発勝負になるんだ。あれを表に出したらもう逃げられないんだぞ?」
『うむ。我らが主を必ず守るぞ!』
「あれはドラゴンではないんだよな?飛ばないんだよな?」
『分からん』
「飛ばれたら厄介なんだよなー。上に人も残ってるしさ」
『警告はしたんだ、後はあいつらの判断だろう?』
「そうは言っても被害が出たら気になるしさ」
『他の奴を気にしている場合か?生きるか死ぬかの戦いだぞ』
「・・・だからさ、無理する事無くない?逃げてもいいんじゃない?」
『ここは引いてはいかん所だと思うぞ、主よ。あの程度で逃げておっては我らの仲間の元になど行けんぞ』
「行く気もないけどね・・」
『リク、覚悟を決めろ。その先を見たいんだろう?』
それを言われると言い返せないよな。
俺は収納ボックスから白竜の鱗と銀狼の王の爪をいくつか取り出して地面に置いた。ハクとギンがそれを次々と呑み込んでいく。
あいつを相手にするにはギンとハクの力がどうしても必要だ。だから途中で魔力切れにならないように先にエネルギー補給だ!
「ハク、ギン。地面に肉を置いてあいつを誘き寄せる。そしたら攻撃するんだけどさ、あいつの顔を狙ってくれないか?多分あいつが攻撃してくるとしたら口から何か出してくるよな?ブレスか何か分からないけどさ。だから俺に直撃しないように攻撃の軌道をずらして欲しいんだ」
『うむ』
『分かった』
「前に出なくていいからな。この穴の辺りから危なくなったら壁のある方に逃げればいいんだからな。俺もそうするし」
『『分かった』』
ハクとギンに指示を出し終わった俺は誘き寄せるための餌になる肉を取り出して、軽く竜巻を起こしてちょうど俺達と地底湖の真ん中らへんに肉を落とす。
後はあいつが地上に姿を現すのをじっと待つだけだ。
魔力反応が強大だからね、ちょっと動いたところで反応は動かないんだ。だから目で直接見ているしかないんだよな。
数分もしない内に水が盛り上がって行きザバーーッっと水が落ちる音がした。
俺は呆気にとられた。あれ何よ!?いや、今はそんな事考えてる時じゃない!!そんなの後でドロップ品を鑑定すればいいんだから。
上からギャーギャー喚く声が聞こえてきた。だから離れてろって言ったのにっ。
そいつは鼻をひくつかせ長い首を肉の方に寄せて行く。
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