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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 鉱山に向かう前にギルドに寄ると、冒険者ギルドとドワーフ共同の指名依頼が入っていた。内容は地底湖にいる魔物の調査と、出来たら討伐もとなっていた。

 断る理由もないし、どちらにしろ地底湖までの道を掘らなきゃいけないから依頼を受ける事にした。


 坑道に入りドワーフ達と一緒に昨日の続きを掘っていく。あの7階の穴には昨日の夜から冒険者達が監視のために泊まり込んでいるそうだ。

 何がいるのか分からないが外に出て来られたら困るしな。水の中にいるからと言って陸で活動できないと言う事も無いだろうしね。


 空間の周りを回るように緩やかな下り坂にしながら掘り進めている。その分距離が延びて全く終わりが見えない。そもそもあの空間が広すぎるんだよな!

 前に岩ワームの巣に入った事があるが、あれより遥かに広い。球場2~3個分はあるんじゃない?で、その半分以上が水面になっていたから、そこに棲んでいる魔物もその分大きいんだろうな。

 魔力反応が1つだけだったから間違いなく大きいだろう。あの大水蛇位かな?いや、あの湖より広いんだからもっと大きいかも知れない。


 大分空間の底に近づいて来たようで、魔力反応がヤバい事になっている!?何がヤバいかってその大きさだ!!あの大水蛇の反応より大きいんだよ?どちらかと言うと白竜の大きさに似ている。これはいよいよヤバい事になってきたかもしれん。


 地下20階分掘り進めてやっと底に辿り着く事が出来た!!だが時間切れだな。ここは地底湖の陸地部分と反対側だ。だから陸地側に出るまで掘り進めてから空間に繋がる穴を開ける事になる。

 はぁ。クリスマス出勤確定でございます。そしてここから地上に出るのに何時間かかるんだって話ですよ!今夕方だから外に出た時には夜だろうな。

 俺だけなら全力で走ればそれほど時間はかからないけど、ドワーフ達が居るからね。彼らを置いて先に行く訳にもいかない。


 次の日、いよいよ空間に繋がる穴を開ける事になったんだがドワーフ達が戻ってくれないんだよな。危ないから安全な所まで引き返して欲しいって言ってもさ、俺1人残すわけにはいかないとか言ってさ。

 俺としては寧ろ1人にさせて欲しいんだよ!自分1人だったら何とか逃げ延びる事が出来るけど、ドワーフ達を守りながら逃げるのは難しい。

 せめてあの7階まで戻ってくれないかとお願いした。それからあの穴から遠ざかっていてくれと冒険者達に伝言もお願いした。

 理由は魔物が暴れて壁が崩れたら危ないからだ。穴から下を覗いていて逃げ遅れて落ちましたとか止めて欲しいんだ。いくら何でもぺしゃんこになった人は助けられないよ?そう言ったらしぶしぶ納得してくれた。

 でも未練がましく俺の方を見ながらゆっくり坂を上っていくんだ。だから俺は午後まで待つ事にした。4時間もあれば7階まで辿り着くだろうからね。


「ハク、何がいるか分かるか?」

『分からんな。だが強大なものだな』

「お仲間か?」

『ふむ?似てるような気もするな?我らの中には水の中を好むものもいるからな』

「それって飛んだりする?」

『そこまでは分からん。だが氷竜であれば飛ぶな』

「氷竜!?えっ、氷を操る竜って事?」

『うむ。あやつは水を好むからな。だが飛べるぞ!』

「えー、すっごい嫌なんですけど!!」

『ここにいる奴は違うと思うぞ?似ているが違うな』

「そうなの?じゃあいっか」


 俺は地底湖の中にいるものをどうやって誘き寄せようか考える事にした。こんな所に餌なんて無いだろうし、何を好むんだ?

お読みいただきありがとうございました。

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