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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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「モリーさん、Cランク試験の日程ってまだ決まらない?」

「はい、まだ人数が揃っていなくて・・」

「そっか。じゃあしばらくラットルを離れてもいいかな?」

「えっ!?他の街に拠点を移されるんですか!?」

「いや違う違う、ラードンに行ってみたくて。旅行だよ」

「何だ、脅かさないでくださいよ!そうですね。夏の終わりぐらいには日程が決まると思うんですけど・・」

「何人以上集まらないといけないの?」

「最低5人です」

「なるほど。まあ俺はランク試験急がないから、戻ってくるのが間に合わなかったら来年でいいよ」

「それはそれで困るんですけど・・ずっと待っていただいてましたし仕方ないですね」

「多分来週には出発すると思うから宜しくね!」

「分かりました」


 よし、早速旅行準備しよう!

 馬車で3週間かかるから、往復でひと月以上はかかるし夏の終わりまでに戻ってくるのは厳しいよな。急いでランク上げるつもりもないしいいか。


「ロイ、メル来週からラードンに旅行に行くぞ!」

「えっ!?旅行?いきなりどうしたの?」


 メルに絵本を読み聞かせていたロイが驚いたように聞いてくる。


「すべての街から特産品が集まってくる交易都市ラードン!一度行ってみたかったんだ。旅行費用も貯まったしな」

「僕達も一緒に行っていいの?」

「当たり前だろ?何言ってるんだ?」

「だって、生活費とか全部出してもらってるし・・」

「それこそ当たり前だろ!俺が2人と一緒に居たくてお願いしたんだから」


「ちょっ!?どうした!何で泣くんだよロイ!?」

「・・・だって、ウグッ、ヒィック、グスッグスッ」

「にいちゃ?いたいの?」


 いきなり泣き出したロイに焦って抱き寄せる。何だ?俺なんか変な事言ったか?とにかく落ち着くまで背中を撫でてやる。


「ごめんリク兄・・」

「いや良いけど、どうしたんだ?」

「にいちゃいじめちゃめー」

「いやいやメル、俺何もしてないからっ」

 誤解だからポカポカ殴るのやめて!痛くないけど。


「グスッ、ずっと不安だったんだ。いつ放り出されるんだろうって。同情してくれただけだろうって・・最初だけだって」

「ロイ・・」

「だから、旅行に一緒に行くのが当たり前だって言ってくれて嬉しかったんだ・・グスッグスッ」


 そんな事思ってたなんて気付かなかった。ずっと不安だったんだな・・


「俺はロイとメルに会うまでずっと独りで寂しかったんだ。だから2人に出会えて、一緒に居られて嬉しいんだ。2人が嫌だって言っても付いて回るからな!」


 メルも抱き寄せて2人まとめて抱きしめる。ぎゅうぎゅうにしてやる!


「苦しいよっ」

 ロイはそう言いながら笑ってくれる。

 これからはもっと言葉にして伝えて行かなきゃだめだな。鬱陶しいって言われるぐらいに。


お読みいただきありがとうございました。

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