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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 半日歩いてローヒルミ大河に辿り着いた俺達はさっそく釣りの準備を始めた。

 先ずは河側を開けて左右、後ろ、上を土壁で囲う。広さは俺が悠々寝っ転がれる位だな。土壁も厚くしてあるしちょっとやそっとじゃ壊れないはずだ。


 釣り竿と巨人肉を取り出す。他に餌に使えそうな肉が無いんだよな。

 俺は縁に座りさっそく餌を付けた釣り糸を河に放り投げた。何が釣れるかなー。

 ハクは俺の隣に寝そべっているし、ギンは土壁の上に登っている。ライはそのまま俺の身体に纏わり付いている。


 数分もしない内に引きが来た!しかもこりゃ、結構力が強いな!?力強くグイグイ竿を引っ張られ、俺は必死に竿を引き寄せようと踏ん張った。

 だが相手の方が力が強くてズルズルと河の方に引っ張られてしまう!?


「ちょっ!?ハク、手伝ってくれ!!」

『む?その棒っ切れを離せばよかろう?』

「駄目だ!大事な物なの!!早く手伝ってっ」

『仕方ないのー』

 そう言ってハクがのそのそと近づいて竿を口に銜えて引っ張り始める。

『むぐ?』


 だがしかし、相手がさらなる力を出して引っ張ってきた!?ヤバイ!!俺はとっさに河の縁に土壁を作って足場にした。何とか踏ん張って河に落ちないようにはなったが、依然として相手との引っ張り合いが続いている。


「ギン!来てくれ!!」

『何だ?』

 天井からギンが顔を覗かせてくる。

「河に引きずられそうなんだ!手伝ってくれっ」

『何やってんだ・・』

 呆れたよう言って、それでも降りて来てくれる。ギンには竿じゃなく俺の服を引っ張ってもらう事にした。

『いたーーっ!?何!!』

『あ、すまん。お前ごと嚙んでしまった』

「ライ悪い!ちょっとギンが掴む場所空けてくれ!」

『んー。分かった』


 ライが形を変え俺の上半身だけを覆う様に蠢く。こんな時になんだが、ホムンクルス同士だと噛まれたら痛いんだな?また寝ててギンが噛むのに合わせて形を変えられなかっただけか?


 3対1で引っ張り合っているっていうのに力が拮抗して何ともならない!?どんだけ大物なんだよ!!この辺のも魔物になるのか?

 業を煮やしたハクが最終手段に出た。身体を大きく膨らませて一気に竿を引っ張り上げる!ぐいーーんっっと獲物が引っ張り上げられそのままの勢いで土壁を越えて後ろに飛んでいった!?

 俺ごと飛ばされないように途中で竿から手を離したが、勢いがついていたためそのまま引っ繰り返ってしまった。ギンは俺が倒れ込む瞬間さっと離れたから潰さずに済んだ。


 今のは何だったんだ?俺達は釣り上げた獲物の元に急いで向かった。

 結構飛ばされたなー、走って5分位かかってしまったよ!一足先に飛んでいったハクが早く止めを刺せと喚いている。まだ生きてるって事か?


 デッカ!?何じゃこれ!!体長何メートルだよ!!俺が唖然としてその物体に見入っていると、ハクが早くしろと急かしてきた。俺は止めを刺す前に鑑定してから頭に土槍を突き刺した。

 そいつは大量の魚肉と魔石を残して消えた。て事は魔物になるのか?鑑定では大鯰(おおなまず)ってあったんだけどな?

 いやーデカかったな!魔物だからかな?多分だけど、4~7メートルはあるんじゃない?尻尾をビッタンビッタンして陸に上げられたと言うのに全く堪えてなかったな。

 このローヒルミ大河の中はどうなっているのかね?辺境に近い川は普通の魚だったって事は、どこからか変わっているって事だよな?考えられるとしたらローヒルミ大河が途中で枝分かれしている辺りか?


 俺は竿を回収しようと辺りを探したが、見事に真っ二つ折れていた!

 あ~、せっかく親方に作ってもらったのにな・・・

 俺達はいったん河に戻り土壁を元に戻して今日はもう休む事にした。

お読みいただきありがとうございました。

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