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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 サラが家に来てからササリさんが定期検診に来てくれている。ササリさんはリズさんの出産の時に立ち会えなかった事を謝っていたが、俺達からしたらずっとリズさんの体調を見ていてくれたし、無事に産まれて来てくれたのだからそれだけでいいと思っている。


「忘れないうちに伝えておくけどね、今冬のリーリンの花採取には行かなくていいからね」

「どうしたんですか?自分で行く気ですか?」

「そうじゃないよ。ちょっとした実験さね。今までも来年の為に花を少し残していただろう?だったら全部取らずに来年になったらその分増えているんじゃないかと思ってね」

「ああ、なるほどね!」

「そうあって欲しいって言うこっちの願望さね」

「分かりました。それなら取りに行きませんよ」

「じゃあまた来るからね」

「はい。ありがとうございました」


 玄関までササリさんを送り、姿が見えなくなるまで見送っていたらハクが影から出て来た。


『主、魔の森には行かぬのか?』

「依頼で行っているだろう?」

『そうではない。もっと奥だ』

「奥ならこの間亜熱帯ゾーンに行ったぞ?」

『その奥だ』

「魔法ゾーンか?もうすぐ雪が降るから行くとしたら来年になるな」

『そうか・・』


 そう言ってハクは遠く空を見上げた。

 ハクは元白竜だ。魔の大森林の中でも最強の魔物になるだろう。そのハクが魔の大森林の奥を気にするなんて、何かあるのだろうか?


「雪が解けたらすぐに行ってみようか?それでいいか?」

『うむ』


 ハクはこちらに一度視線を戻し、それから影に戻って行った。

 大丈夫だろうか?ハクに言われると不安になって来るな。だがすでに雪がちらついて来ているし今から行くのは難しいだろう。不安ではあるが雪が解けたらすぐにでも出発する事で納得しとこう。


 今年のクリスマスにロイは参加できなかったが、その分サラが初参加だ!!マージさんがサラの分のサンタコスをプレゼントしてくれたのだ!?赤い帽子に赤い上着だ!すっごく可愛くて、この世界にカメラが無い事を悔やんだ。

 この世界の人達は姿を残す時には絵を描いてもらうらしい。

 そうかー、事前に頼んでおけばよかったな。そう言っていたらメルが描いてくれる事になった。メルって今まで絵を描いた事あったけ?いたずら書きはよくしてたけど?


 結果としては、察して欲しい。うん、まあ、よく描けてますね!って言う言葉しか出てこなかった。だがここでマイルズさんが名乗り出た!?趣味で嗜んでいた事がありますと言って、絵画セットを一式持ってきたのだ。

 これは本格的ですな。期待通り凄く素敵なサンタコスを着たサラが描かれていた!?後で額縁を買って来てメルの描いてくれた絵と一緒に飾って置こう。


 雪が本格的に降りだし、ロイが家に帰って来た。リザロと一緒に・・

 リザロは家に入るなりサラの元へすっ飛んでいった。

 だが今までと違う事があった。リズさんに蹴られても帰ろうとしないのだ。

 サラの揺りかごの前から絶対離れる気が無いと言う事だろうか?俺達が帰るよう促しても嫌だと言って動こうとしないんだ。あのリズさんでさえ根負けしていたからな!

 そんな事もあってリザロは冬の間ずっと家に泊まる事になった。部屋は空いてるしいいんだけどね。リズさんの兄でありサラの叔父さんだからな。親戚が泊まりに来たみたいなものだろう。

 時々リズさんが握り拳を震わせているのを見ると、頼むから家は壊さないで欲しいと願った。やるなら外に出て下さい!


 年末には『銀狼の牙』と『月にてらされし竜』のメンバーも集まって賑やかに過ごす事が出来た。

 リザロに関してはメンバーもお手上げで、ガロさんから冬の間頼むと頭を下げられた。もう苦笑いしか出てこないよ。

お読みいただきありがとうございました。

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