41 年越し
雪が本格的に降り始め、すでに冒険者仕事も休業している。
冬の間ずっと籠っているのが性に合わない冒険者は、春まで他の街に移動しているそうだ。
この世界にはお正月という概念はないが、皆で集まって年越しから新年を祝う事は変わらないようだ。まだ昼間だというのに、すでにあちこちの食堂から楽しそうな声が聞こえてくる。
そして新年に一斉に年を取るらしい。つまり個人の誕生日がない。
忘れないだろうけど、ちょっと寂しいよな。せめてプレゼントでもと思って買い物に来ている。
あれこれ見て回ったが、これっ!と言う物が無い。必要な物は大体買ってあるしなー、難しい。
結局思いつかず、メルにはリボンをロイには物理耐性を上げるペンダントにした。
役に立つ物の方がいいよな?たぶん・・
途中、マージさんに会い何故か商業ギルドに連れて行かれた。
以前作ってもらったサンタコスの評判が良かったらしく、商品化したいと言われたのだ。特に問題もないため了承したのだが、アイデア料を払いたいと言ってくれて、その手続きの為に連れて行かれた。
売り上げの2割をアイデア料として支払ってくれるそうだ。冒険者ギルドカードに月々振り込まれる。
正直ありがたい!副業しようかと悩んでいたこともあり、少しでも収入が増えるなら嬉しい!
問題はそんなに需要があるかどうかだ。まあ、売れたら儲けもの位に思っておこう。
今日は『熊のねどこ』でも年越し、新年の祝いと言う事で夕食がちょっとだけ豪華になると言っていた。俺も保管していた大猪と大熊の肉を提供した。
イジーさんにはいつもお世話になっているからね。ちょこちょこ恩返ししとかないとな。
部屋に戻り、夕飯の時間までメルに絵本を読んであげる。もう何度も読んでいるはずなのに、全然飽きないらしい。
明日にはロイは9才、メルは4才になる。
俺はもう2人なしにはいられない!そう2人も思ってくれればいいな。
年越しメニューは、大熊肉の煮込みシチューに大猪肉のソテー、サラダにパンだ。お腹いっぱい食べて、仲良くお風呂に入る。
部屋に戻ったらプレゼントを渡そう。喜んでくれるといいな・・
お読みいただきありがとうございました。




