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「そろそろいいか?」
俺とゼムさんの話が終わるのを待っていたようで、会話が途切れた所にドスさんが話しかけてきた。そう言えばドスさんもいたな!
「はい、すいません。ちょっと興奮しちゃいました」
「いいんだがよ、それであの素材の事だ」
「ああ、どうですか?何とかなりそうですか?」
「おうよ!ドスん所の炉じゃあ温度が足りなかったんだわ。そんでよ、ラデス殿下に会った時によ、その話したら援助してくださるって言ってな。そのかわし色々条件が付いちまったが何とかなりそうじゃ!」
「そうですか。それは良かったです!」
「もうすぐ新しい魔力炉ができるからそしたら取り掛かれるはずだ」
「完成はいつ頃です?もうすぐ王都に行かなくちゃならなくなったんですよ」
「そうなのか?そうすっと先に素材を預かっといた方がいいか?」
「ですね。夜の方が人目に付かないでしょうし、ドスさんいつがいいですか?」
「そうだな。じゃあ今夜はどうだ?」
「分かりました。夜に伺いますね」
「頼む」
話し合いが終わり、ドスさんとゼムさんが帰って行った。
帰り際にゼムさんにコーメッコの事を念押ししたのは言うまでもない。何が何でも絶対に手に入れたい!!
俺は貰った酒樽を1つはリザロに渡すために収納ボックスに入れて、残りを食料庫で寝かせる事にした。ここに入れとけば劣化もしないし、リズさんが飲める様になったら渡せばいいのだ。
リザロ達が王都に出発してしまう前に渡したいから、このままリザロの所に出掛ける事にした。
ついでにメルを迎えに行こう!今日は孤児院に行っているからね。
メルをいつまで孤児院に通わせようか?家にはマイルズさん達がいてくれるからもう孤児院に通わなくてもいいんだよな。でも孤児院には友達が一杯いるからなー。確か孤児院の子達は13か14才で働きに出るんだっけ?その辺が一つの区切りだろうか?
俺はリザロ達の定宿に行き、リザロにゼムさんからのお礼の酒樽を渡した。驚いた事にリザロはコーメッコの酒を知っていた!?依頼でリーザス国に行った事があるんだって!何だよー、それなら聞いてみればよかったな。
でも米って言っても分からないか?コーメッコじゃあ微妙に違うしな。そう言えば似たようなお菓子があったよーな?
リザロにリズは大丈夫なのかと何度も聞かれ、あまりにしつこいのでつい王都に行く前に家に来たらいいじゃないですかと言ってしまった。後でリズさんに怒られるかもしれない・・・妊婦さんにストレスは与えちゃいけないのに。
メルを迎えに行った帰り道、マージさんの所に寄り道した。
王宮に行くならそれなりの服が必要だからね。去年の服はもう入らないだろうからって言ったら、王都に行くって決まってすぐにリズさんと頼みに来たって言われた!?
聞いて無いんですけど・・・ちょっと疎外感を感じる。
まあ、ここまで来たんだからとマージ洋服店に寄ったら、丁度頼んでいた服が出来上がった所だと言うので持って帰る事にした。
それにしても大量だな?これ全部メルのなんだろうか?大袋1袋に中袋2袋もあるよ!?マージさんに聞いたらリズさんの分もあると言われた。どんどんお腹が大きくなってくるからそれに合わせているのだと。なるほど。
赤ちゃんの服も作っているわよーと言われた。それもあったな!?
マトさんが裁縫も得意で赤ちゃん用の服やおしめを縫ってくれているから頼んでなかったけど、たくさん必要だもんね。
俺の知らない所でいろんな事が進んでいるなー。
お読みいただきありがとうございました。




