363 乗り越えるべき事
リビングで寛いでいたら、ロイとリズさんが揃ってやってきた。それはいいんだけど、2人そろって話があるとは何事だろうね?
「リク兄、お願いがあるんだ」
「うん?何だ?」
「今年のリーリンの花採取には僕を連れて行って欲しいんだ」
「え?」
「もうリズさんは行けないだろう?だから代わりに僕が行きたいんだ!」
「それは・・」
「もうササリばあには話を通してある。許可は貰っている」
「リズさん・・」
「ロイはもう立派なCランク冒険者だ。連れて行くのに問題はあるまい」
「それはそうですけど・・」
「ロイにはリーリンの花の群生地について内密にするように言い含めてある。国の関わる事だからな、迂闊に話すような真似はするなと言ってある」
「うん、誰にも話さないって約束するよ。だから連れて行って欲しい」
俺の困惑をよそに2人が言い募ってくる。
正直ロイを連れて行きたくはない。いや、ロイだけじゃなく誰も連れて行きたくはないんだ。あの時の、また大切な人を喪うんじゃないかという思いが俺を戸惑わせる。
俺の答えをロイもリズさんもじっと待っている。
「少し考えさせてください」
すぐに答えを出す事が出来ず、俺は逃げた。
リビングを出て屋根裏部屋に行き、寝転がる。まさかロイが行きたがるとは思わなかったな。
俺は独りで行こうと思っていたんだ。誰も連れて行かなければ、何があったとしても誰も失う事なんて無いから。もうあんな思いはしたくないんだ。
リズさんが光に呑まれた光景を思い出して、俺の心がまたじくじくと痛みだす。
「リズさん、やっぱり駄目かな?」
「そんな事はないさ」
「でも。ねえ、去年何があったの?帰って来てからリク兄の様子がおかしかった事と関係があるの?」
「気付いていたか・・」
「当たり前だよ!?メルだって気付いていたんだよ!」
「そうか。これはリクが冒険者として乗り越えなければならない問題なんだ」
「冒険者として?だったら僕にも関係あるよね?」
「ロイの方がとっくに覚悟が出来ていると思うぞ?冒険者をしていたら怪我だってするし、自分が死に目に会うかもしれない。そして仲間が死ぬかもしれない。そうだろう?」
「うん。冒険者の友達からも聞いているし、僕達の村が襲われた事もある」
「リクにはその経験が無さすぎるんだ。なまじ力を持ちすぎているばかりに命の危機に直面する事が少なすぎるんだ」
「それって・・リズさんが死にそうになったって事?リク兄の前で?」
「そういう事だ」
リズさんの厳しい表情に、僕は何があったのかを理解した。
森尾 陸 29才 SP3774
人族 Lv68
スキル
体術Lv5 身体強化Lv5 剣術Lv1 魔力上昇Lv5 魔力制御Lv5
魔力感知Lv5 危険察知Lv5 魔力隠蔽Lv5 気配遮断Lv5
風魔法Lv5 水魔法Lv5 火魔法Lv5 土魔法Lv5 回復魔法Lv5
状態異常耐性Lv5 物理耐性Lv5 魔法耐性Lv5 料理Lv2
暗視 遠見 鑑定 索敵 隠蔽 隠密 罠察知 罠解除
固有スキル 言語翻訳 収納ボックス 道花
ロイ 16才
猫族 Lv35
スキル 体術Lv2 身体強化Lv2 剣術Lv2
メル 11才
猫族 Lv5
スキル 体術Lv1 身体強化Lv1 裁縫Lv1
リズ 30才
人族 Lv61
スキル 体術Lv3 身体強化Lv3 剣術Lv3
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