316 甘い罠?
俺がひたすら収納作業をしていると、突然雄たけびが上がった!?
何かと思って振り向いたら、銀狼の王の食事が終わったらしく周りの銀狼たちが肉に近づいている所だった。つまり今の雄たけびは銀狼たちへの食事許可って所か?一斉に銀狼たちが肉に齧り付いているな。いったい何体いるんだろうか?肉は足りるかな?
やっと収納作業が終わったーっ、凄い量だったな!?1体であれだけのドロップ品を出すとは流石ドラゴンだな!!
俺が疲れて座り込んでいると手に何か柔らかい物が触れた。何かと思って見てみたら銀狼の子供が俺の隣にいた!尻尾を振ってハァハァしてる!!可愛い~な、おいっ。触ってもいいだろうか?触れたとたん親御さんが跳んでくるとかないよな?
俺は辺りを窺ってみんなが肉に夢中になっているのを確認し、そっと子銀狼に触れた。うわ~!?ふわっふわだ!!手触り最高!!子銀狼も尻尾を振っているから喜んでいるようだ。お前は可愛いなー!!
しかしあれだな、俺は数日前までホムンクルスの材料にするべく銀狼を探していた訳だがこんな可愛い存在を殺せるのだろうか?いや、殺すとしたら親御さんの方になるんだろうけど。
何か知らんけど子銀狼が俺の周りに集まって来た。他にもいたのか!?
俺は子銀狼用に肉を取り出してあげた。だが子銀狼たちはすぐには肉に食いつかず、銀狼の王に視線を向けている。それに気付いた銀狼の王が一声吠えると子銀狼たちが一斉に肉に齧り付いていった。どうやら許可が出たらしい。
肉を食べ終わった親たちもじっと子銀狼たちの食事風景を見ている。
俺はこの先、この魔法ゾーンで銀狼に遭遇したら狩る事が出来るんだろうか?自信無いな~。こんなに可愛いんだもの!親たちは可愛いとは思わないけど、この子銀狼たちの親だと思うと躊躇しちゃいそうだ。
俺は銀狼の王を見た。何故か銀狼の王に鼻で笑われた気がした!?ふっ、て感じでちょっとだけ唇の端が持ち上がったように見えた!?
え?何今の?俺の考えていた事が分かったのか?まさかとは思うけど、これも計算に入れていたのか?
自分達で手が下せない病気持ちの白竜を俺に始末させて、ドロップ品を全部渡す代わりに俺達には手を出すなよって事じゃないよね?
でも今の上から目線の鼻で笑った感じ・・俺を都合よく使ってやったぜって事なのか?子銀狼たちに絆された俺を見てちょろいなお前とか思っているのか?
俺の被害妄想かもしれないが、そう考えるとそうとしか思えなくなってきた。
なんか腹立つな~!もう1度銀狼の王を見たら、明後日の方向を向いていたが尻尾がゆらゆらと揺れていた。これ間違いなくない?
俺はどうやら見事銀狼の王に嵌められたらしい。
しかし食事を終えて俺の元に寄ってきた子銀狼たちを見ると、これはこれでいっかと思う事にした。やっぱり俺ってちょろいな・・
当初の予定とは違い銀狼の魔石を手にする事は出来なかったが、代わりに白竜のドロップ品が大量に手に入ったしこの辺で辺境に帰る事にした。
俺が辺境に戻った時にはササリさんも店にいるだろうか?出来るだけ早くホムンクルスを作ってもらいたい。ホムンクルスが護衛として付いているのといないのとでは安心感が全然違うんだ。俺の精神の安定のためにも。
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