34 初釣り
今日は臨時休業だ!初の魔の大森林はロイの疲労が大きかった。やり過ぎた俺のせいでもあるのだが・・
と言う事で、午前を宿でまったり過ごし午後から釣りに行く事にした。
ローヒルミ山脈から魔の大森林を通って、辺境の街ラットルと草原の間を流れているローヒルミ大河の支流だ。つまり西門から草原に行くために架かっている橋のある川だな!橋を渡らず外壁側に居れば門兵もいるし安全だ。
魚釣りの依頼もあるが、今日は完全にプライベートだ。釣り道具もイジーさんに貸してもらった。代わりに大量だったらお裾分けする予定だ。
以前、ローヒルミ大河で大鯨を見たが流石にここまでは来ないだろう。川幅が半分以下になっているし、街の近くで大鯨が釣れたら噂くらい耳に入っているはずだし。
「ロイ、メルこの辺にしようか」
西門を出て左側に進んだ先、辛うじて門兵を確認できる位の距離まで移動する。敷物を敷いてロイと並んで座り、早速釣り竿を川に垂らす。餌には少し勿体無いが一角兎の肉を使用している。あまり美味しくない森狼の肉とかは全部売ってしまったからな。
「メルも~」
「メルも釣りたいのか?ならおいで!」
メルを膝の上に乗せて釣り竿を握らせる。
日差しがぽかぽかと暖かい。メルの子供体温も相まってさらに温かい。何だか眠くなりそうだな。
「つれないねー」
「そうだな。ロイはどうだ?」
「うーん、魚いないのかなー?」
「まあ、釣れなかったら釣れなかったで仕方ない。ゆっくりしよう」
「あ!竿引いてるよっ、メル!!」
「ふぇ」
「おお、メルしっかり握ってろ!じっくりいこう」
メルの小さな手に手を添える。釣りなんてした事無いからよく分からないが、しばらく泳がせてからの方がいいって聞いたことがある。泳ぎ疲れて弱ったところを何とかかんとか。キャンプ番組だったかで話していた。あまり興味がなくて聞き流していたのだが・・
「よし、ゆっくり引いていこう。急がなくていいからな」
「う~~っ」
そろそろかな?さっきより動きが鈍くなってきたような気がする。
「メル、行くぞ!それっ」
「わっ!つれた!?やったあっ」
持ってきたバケツに入れる。意外と大きい!鮭に似ているな。
「サッツだ!僕これ大好き!!」
「へー、サッツって言うのか?ロイが好きなら美味しいんだろうな!」
「うん、焼いたのが好き!」
「そっか、なら頑張って人数分釣ろう!」
メルは1匹釣って満足したのか周りを走り回り始めた。
お読みいただきありがとうございました。




