297 収穫祭
収穫祭当日、住人達は朝から街全体を飾り付けるために忙しくしていた。
俺は部屋の窓からその様子を眺めているんだが、見ているだけでワクワクしてくるね!宿の従業員さんの話では、午前中にご領主様より挨拶があってその後にパレードが行われるそうだ。何でも着飾った女の子達が街を練り歩くんだって!!正直挨拶はどうでもいいのでパレードが始まってから出掛けるつもりだ。
数時間後、外から音楽が聞こえてきた。どうやらパレードが始まったらしい。
俺達はさっそくパレードを見に出掛けた。ロイとメルは待ちきれなかったらしく、宿の入口で俺達が来るのを待っていた!道理で部屋にいないと思ったよ。
パレードに参加している女の子達はみんな頭に花冠をかぶっていた。手には花びらの入った籠を持ち、花びらを撒きながら進んで行く。
これは後で掃除するの大変そうだな。メル達は素直に綺麗だと感動しているのに、俺はついついその後の事を考えてしまうんだよな。
「リク兄!メルも花冠かぶりたい!」
「花冠を?うーん?」
「リク兄、あそこの出店で売ってるの見たよ」
「そうなの?じゃあ行ってみるか!」
「わーい!!」
メルが嬉しそうにロイの手を引っ張って出店に向かって行く。
花冠って売ってるものなんだな?
「お嬢ちゃん、どれにする?こっちのピンクの花が似合うんじゃないか?」
「ん~?」
「メル、どれにするの?」
「むぅ~」
色々な種類の花冠があるようで、メルは真剣に選んでいる。
「本当に売ってるな。花冠」
「アハハ!兄ちゃん、女性って言うのはね、皆が着飾っていたら自分も着飾りたくなるもんなんだよ!」
「なるほどねー!」
ならリズさんもかぶりたいかな?リズさんの様子を見てみると、リズさんの視線はふかし芋の出店に向かっていた・・・
だがまあしかし、万が一と言う事もあるので俺はリズさん用の花冠を選ぶことにした。この白い花とオレンジの花が交互に編んである花冠なんてどうだろうか?瞳の色に合わせて紫の花の方がいいかな?でもたまには全然違う色もいいんじゃない?う~む?難しいな。メルが悩むのも分かる。
「これにする!」
メルはピンクと赤の花をメインに所々に白い花が入っている花冠にしたようだ。じゃあリズさんには最初に目に付いた白とオレンジの花冠にしよう!
代金を払って花冠を受け取り、メルの頭にかぶせてあげる。花冠はちょうど両耳がすっぽり入る大きさで、ちょこんと出た猫耳がさらに可愛さを引き立てているな!うんうん、可愛いね~!!メルは耳に当たる花冠がくすぐったいらしく、花冠の位置を何とかずらそうとしている。ちょうどすっぽり嵌る大きさだから無駄だけどね。ピクピクしているお耳が可愛い!!
俺はリズさんの頭にも花冠をかぶせてあげた。そんなのいらないとか言いつつ、頭に乗せた花冠を取らずにかぶってくれている。こういう所は可愛いよね!
パレードの次は、待ちに待った買い物の時間だ!!もうね、野菜や果物だけじゃなく、パスタや薫製肉の加工品類も通常の1~2割は安くなってた!?今日まで買うの我慢してて良かった~!!
凄い安く野菜が売ってる!?って思ったら傷物野菜だった。ちゃんと傷物野菜である事が書かれていたが購入している人達は多かった。家で食べる分には何の問題も無いもんね。傷の所だけ取り除けば味は一緒だもの!
俺はダンダさん一家からたくさん貰っちゃったし、ここは他の人達に譲ろう。
俺はロイ達が呆れて先に帰るぐらい店を回り、心行くまで買い物を楽しんだ。
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