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トントンッ
「どうぞー」
「失礼いたします。お呼びだと伺いました」
「マトさん、わざわざすいませんね。実は商業ギルド長がピザと総菜パンを商品登録したいそうなんですよ」
「商品登録ですか?」
「はい。それで作り方を教えて欲しいそうなんですけど、俺はマトさんに任せっぱなしなので意見を聞きたいと思いまして」
「そうですか。実はその、孤児院のシスターからも作り方を教えて頂きたいとのお申し出がありましてご相談しようと思っていたのです」
「え?シスターから?」
「はい。惣菜パンの売れ行きが良かったので来年はご自分達でも作りたいと。それからピザも大変気に入っていただけたようです」
あ~。あのシスターは食いしん坊さんだもんな!さもありなん。
「マトさん的には人に教えるのはどうですか?」
「人様に料理を教えた事はありませんので、上手く教えられるかは分かりません。ですが旦那様のアイデアを皆さんに知っていただくのは良い事だと思います」
「いや、俺は別にどうでもいいんですけどね。家で美味しい物が食べれればいいんですから。マトさんいつもありがとうございます」
「とんでもございません。それが私の仕事ですから!」
「そうすると、孤児院に教えるのが先かな?もしくは孤児院で合同?」
「それなのですが、先日孤児院の窯を見せて頂いたのです。大分古くなっていますし、たくさん焼くだけのスペースもありませんでした」
「そうなんだ。う~ん、どうしようかな?」
「でしたら簡易式の窯をこちらでご用意しますので、孤児院の庭を使ってはいかがですか?」
「簡易式の窯ですか?持ち運べるって事ですか?」
「リクさんがお買い求めいただいた魔道具の窯の大型版ですね。料理店専門なので通常のカタログには載っていないんですよ」
「なるほど。じゃあもう一つ条件を付けても?作り方を教える人達って料理人ですよね?」
「そうですね。これから幾つかのお店に声を掛ける予定でいます」
「なら広く募集してください。街のパン屋さんとかにも!元々庶民の食べ物ですからね。そしてその方達から参加料を取ってください」
「参加料ですか?」
「そうです。今回は作り方を教えるのに料金を取ります。そのお金から孤児院の庭の使用料として窯を購入する費用に充てるのと、教えてくれるマトさんに報酬を支払ってください」
「ふむ?なるほど。そういう考えもありますか・・」
商業ギルド長ならこういうの分かってくれると思うんだよね。アイデアも商品、技術を教えるのもまた商品になりえるって考え方。
「あの、旦那さま。私の報酬は必要ありませんが・・」
「駄目ですよ!そこはちゃんと支払います。人にものを教えるって大変なんですよ。俺も手伝いますけど、主役はマトさんなんですからね」
「そんな!?」
「分かりました。声を掛ける店は絞るつもりでしたが、広く募集します。参加費も徴収してマトさんと孤児院には報酬を支払います。それと孤児院の窯の購入についてもご相談に乗らせていただきます」
「そうしてください。何だったら孤児院の方には先に教えておいて、当日は手伝ってもらってもいいですね!」
「その辺はどれぐらい参加人数が集まるかですね。こちらで全て手配いたしますので詳細が決まりましたらまたご連絡させていただきます」
「お願いします」
こうして商業ギルド長は帰って行った。ニコニコしていたから参加費を取っても人は集まると思っているんだろうな。
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