216 大亀
地震だと思っていた揺れは、足長鳥がいる地面一帯が盛り上がった振動だったようだ。
結構盛り上がったな!?近くに生えている木の高さより少し低い位まで地面が盛り上がっている。だから、4~6m位だろうか?
まあそれはいいとして、盛り上がった地面の下から姿を現したのは巨大な亀だった!?大亀と言うらしい。
毎回思うがそのまんまだね!もっと捻った名前付ければいいのにね?俺としては覚えやすいからいいんだけど、大きいからと言って何でも大を付ければいいってもんでもなくない?
で、その大亀は未だ状況を理解しておらずスーランの花の上でゴロゴロしている足長鳥に向かって首を伸ばしている。
つまりスーランの花が咲いているのは大亀の甲羅の上って事だな!
なるほどね!大亀はスーランの花を自分の甲羅の上に咲かせて、その幻覚作用を利用して餌を誘き寄せているわけだ。頭いいな!自分で動かずとも餌の方からやって来てくれるんだもんね。餌が引っ掛かった時だけ起きて食べるだけなんて何と羨ましい生活なんだ!!
この大亀は足長鳥を食べたらまた地面の下に潜るんだろうか?多分そうだよな?そうすると、俺が道花を解いて人の姿で近づいたら今まさに食われようとしている足長鳥と同じ運命を辿る事になるんだよな?それは困る!
しかし道花したままスーランの花を採取する事は出来ない以上、人の姿に戻っても安全な状態を確保する必要がある。
つまりこの大亀を倒さないといけないって事だな!亀ってどうやって倒せばいいんだ?甲羅は多分固いだろうから攻撃しても無駄だろう。手足、首は確実に攻撃を当てないと引っ込んじゃうよな?甲羅の中に。
う~ん、ちょっと難易度高くない?
あっ!ついに足長鳥が食われた!?伸ばした大亀の口が足長鳥の足を捉えて引きずって、更に近づいたところを一口でバクリっだ。大亀の口がモゴモゴと動いている。うわ~、流石にエグイ光景だな・・
何とか地面に潜る前に倒さないといけない!甲羅の下側も堅いんだろうか?上の甲羅よりも固いって事は無いよな?やっぱりここは土槍で下から貫くのがいいか?試してみて駄目だったらまた考えればいいか。
俺は細長くした土槍を先ず大亀の真ん中に1本、そこを中心に左右上下に全部で5本突き刺してみる事にした。太くするとその分短くなって急所まで届かないかもしれないので、今回は細長くしてみた。
「ァッーーーーーーッ!?」
大亀は声にならないような声を出して首を振り回し悶絶し始めた!?声は聞こえないが周りの空気が振動しているように感じる。超音波って奴だろうか?
ちゃんと痛みを感じているって事は下の甲羅は貫けたようだな?よしよし、そんじゃあもう何本か土槍を追加してみよう!
ついでに俺側の手足も動かせないように土槍で貫いた後、風刃で切り落としてやった。残念ながら首は引っ込んでしまって落とす事は出来なかった。
仕方が無いので大亀が死ぬまで更に追加で土槍で下から貫き続けた。
合計50本土槍を出したところでついに大亀がドロップ品に変わった!!
結構粘ったものだね。俺は周囲に魔物がいない事を確認し、道花を解いて人の姿に戻りドロップ品の回収とスーランの花の採取をする事にした。
魔物が近くに寄ってこなかったのは、大亀の超音波の影響だろうな。他の魔物もビビッて近づけなかったのではなかろうか?
おかげで俺は安全に回収できて有り難いんですけどね!
大亀は大きな魔石、肉、巨大な甲羅をドロップした。
スーランの花は大半が潰れていたが何とか12本分は採取する事が出来た。
これにて調査終了!俺は辺境に帰る事にした。
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