21 熊のねどこ
宿を目指して歩き出す。ロイとメルは腕に抱えている。
予想以上にギルドで時間がかかってすでに夕方だ。いつもは恥ずかしがって拒否するロイも、流石に疲れたようで大人しく抱かれている。
教えられたとおり進むと、あった!熊の看板だ!
「いらっしゃい!」
扉を開けて中に入ると受付に居た恰幅のいいおばちゃんが出迎えてくれる。
「泊まりたいんですけど・・」
「はいよ!1泊朝夕食付1人銀貨5枚だよ。食事は右側にある食堂で食べとくれ。風呂は小さいけど裏庭にあるから、入る時は声かけとくれ!」
風呂があるのか!?クリーンで綺麗にはなるけど、やっぱり風呂に入りたいよな!銀貨5枚で朝夕食付に風呂もあるなら安い方じゃないか?まだ単価がよく分からないが・・
「じゃあ、3人で5泊お願いします」
「銀貨75枚だよ。2人部屋でいいね。この紙に名前は・・書けないだろうから教えとくれ!」
俺の格好を見て笑いながらおばちゃんが言ってくる。
「リクです。この子達はロイとメルです」
「あたしはイジーってんだ。よろしくね!」
「リク兄、降ろして・・」
恥ずかしくなったのかロイが降りたがる。残念だが支払いもしなきゃいけないので降ろしてやる。
ギルドカードを渡すと何やら木箱にかざしだした。本当にギルドカードで支払いができるんだな!
「はいよ。部屋は2階の一番奥だよ。食堂はもう開いてるからいつでもいいよ」
「分かりました」
カードと鍵を受け取って受付脇の階段を上っていく。
部屋に入るとベットが2つに小さな丸テーブル、椅子が2脚置いてあった。あとは備え付けのクローゼットか。十分だな。
メルをベットに寝かせて、椅子に座り一息つく。さすがに疲れた・・
「ロイ、お腹は空いてるか?すぐ夕食食べに行くか?」
「ん~、メルが起きてからでいいよ」
「メルは起きるかね?メルー、ご飯だぞー」
呼びかけてみたら、耳をピクピクさせたが起きそうにない。このまま寝かせて夜寝られなくなっても困るし、可哀そうだが起こすか。
「メルー、起きないとご飯抜きだぞー」
「むぅ~」
身を捩りながらなんとか反応を返そうとしてるが、これはダメそうかな?
「ごはんたべるぅー」
流石にご飯抜きは嫌なのか、目元をグシグシ擦りながら起きてきた。
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