191
どこにを選んでも同じというので、俺は最初に目に付いた宿に泊まる事にした。
部屋にはベット、丸机、椅子、クローゼットが付いていて1泊1人銀貨30枚だった。風呂は付いていない。
これはあれだな、交易都市ラードンで泊まった宿より値段が高いが部屋の質は劣るな。あっちは風呂付で確か銀貨13枚だったか?冒険者割引きで銀貨10枚だったはずだ。
まあ王都価格って事だろうな!なるほど、これが第四外壁門内のスタンダードって事か。
第何外壁からお風呂付の宿になるんだろうね?まあ、部屋にお風呂が付いていないだけで宿自体にはお風呂がちゃんとあるんだけどね。
俺はクリーンをかけてからベットに横になり、明日からの予定を考える。
仕方なくとはいえ折角王都に来たんだし、観光しながら本部まで行くとしよう。乗合馬車を使わずに歩いて行くという意味だ。門から門に移動するのにどれ位の距離があるのか、地図の尺度が分からないから何とも言えないが1日も歩けば次の門に着くだろう。
第一外壁門内にある冒険者ギルド本部に辿り着いたのは、それから3日後の事だった。1日1門って事だな。因みに第二外壁門内からお風呂付宿になった。お値段は1泊1人金貨1枚だ。この辺から宿ごとに特徴というか差が出てくるみたいだな。料理が自慢だったり、内装が凝っていたり、一番安くて金貨1枚からだった。
それにしても流石は冒険者ギルド本部!?俺は目の前に聳え立つ5階建ての石造りの建物を見上げた。
いつまでも見上げている訳にもいかないので、意を決して中に入る事にした。久々に見るご立派な建物にちょっと入り辛さを感じる。
中も広々としているな!大体辺境の冒険者ギルドの2倍はあるんじゃないかな?こんなに大きな建物が必要なんだろうか?
王都で活動している冒険者の仕事は護衛依頼が殆どだと聞いている。と言うか、辺境以外は魔物が弱いし王都に近づくほど魔物自体が現れないそうだからそもそも幾つもギルドが必要なのかと言う話だ。本部に比べれば建物は小さいが各外壁門内にあるからね。
受付に行く前に、右壁に貼っている依頼書の内容を見てみる事にした。
うん、やっぱり護衛依頼ばっかりだね。ただ、隣国までの護衛依頼とか辺境ではお目に掛れない依頼があるね。いくつかは畑の見張りとか薬草採取、動物狩りの依頼とかもあるようだ。王都の冒険者の平均ランクってどれくらいなんだろうな?俺は依頼書にざっと目を通して受付に向かった。
「すいません。リクと言いますが俺に伝言ありませんか?」
ギルドカードを差し出しながら聞いてみる。
「はい、少々お待ちください」
「お待たせいたしました。Aランク冒険者リズ様から宿『鈴の音』に居ると言う事と、本部からBランク試験の日程を決めるようにとの事です」
「試験を受ける日は俺が決めていいんですか?」
「今月ですと、5日後ですね。その次になりますと来月になります」
「そうですか。因みに試験内容って?」
「試験官と試合をしていただきます。但し致命傷は避ける事、どちらかが気絶するか続行不能となった所で終了になります」
「分かりました。では5日後にお願いします」
「かしこまりました。では5日後の午後1時までにギルドにお越しください」
「はい」
俺は試験の日程を決め、『鈴の音』と言う宿がどこにあるのか聞いてからギルドを出た。
お読みいただきありがとうございました。




