20
「待たせたな。全部で銀貨25枚と銅貨50枚だ。預けるか?そのまま持っていくか?」
「ん?預ける事が出来るんですか?」
「おおよ!持ち歩くのは大変だろ?カード見せれば買い物も出来るし便利だぞ!預けた金はカードの裏側で確認できる。普段は非表示にしとけばいい」
「じゃあ、そうします」
ロイのカードを差し出して全額預ける。ついでにロイから預かってたお金も渡して入れてもらう。全部で銀貨50枚にはなるはずだ。
返ってきたカードの裏側にちゃんと金額が記載されている事を確認して、ロイの首に掛ける。
「ロイ、非表示しておくんだぞ!」
「わかった」
そう言って早速カードの操作を行う。どういう仕組みかわからないが、カードの隅に小さな突起があり押し込むと表示切替が出来るそうだ。魔道具なのだろうか?
「俺のもお願いします」
魔の大森林で手に入れた素材を出していく。
「おいっ!?こりゃ大蜥蜴じゃないか!こっちは大鼠に大猪か、お前冒険者になったばかりじゃないのか?」
買取のおっちゃんは取り出した素材を見て驚いた声を出す!心なしかおっちゃんの目が鋭くなったような気がする。
「登録をしたのは今日ですが、以前から魔物は狩っていましたよ?」
これは本当の事だから堂々と言ってのける。
「まあ、いい・・これで全部か?」
「はい、あっ!この薬草は?」
鑑定を駆使して役に立ちそうな薬草を手あたり次第採取していたのを思い出す。切り傷、痛み止め、薬の材料になる薬草数種類だ。
「おお、薬草は不足気味だから助かる!常時買取してるからいつでも持ってきてくれ!じゃあ、ちょっと待ってろ」
これで大分収納ボックスの中がスッキリした。重さは感じないが、何となく整理されて気が楽になったな。大猪の肉は美味いから取って置くがそれ以外の肉は全部出した。
「全部で金貨12枚と銀貨70枚だ」
「金貨だけ預けます」
カードを差し出す。
「わかった。まずは金を確認してくれ・・・で、カードだ」
銀貨70枚とカードに記載された金額を確認してしまう。
「お前やるな~!俺はザックってんだ。また頼むぞ!」
「はぁ、善処します」
苦笑いしながら、当たり障りなく答える。
「そうだ、ザックさん。お薦めの宿はありますか?ご飯が美味しい所がいいんですけど?」
「それなら『熊のねどこ』だな。煮込みシチューが美味い!ギルドを出て左にしばらく進んで左側にある3本目の横道に入ればすぐだ。熊の看板が目印だぞ」
「分かりました。ありがとうございます」
お礼を言ってギルドを出る。
お読みいただきありがとうございました。
 




