148 交渉
「聞いてないぞ!」
「今言いましたけど?」
「何故もっと早く言わないんだ!」
「そう言われましても・・行く事は去年から決めてましたし。何故そんなに怒るんです?」
「お前、リーリンの花の採取はどうするつもりだ?」
「どうって、俺は依頼受けていませんし」
「毎冬採取すると説明しただろ!」
「それは聞きましたけど、毎年俺が行く必要もないでしょ?」
「何故そうなるんだ、貴重な物だと言っただろ!私1人で行けと言うのかっ」
「え?もう受けちゃったんですか?依頼」
「毎年受けていると言っただろ!」
「それ俺も入っているんですか?聞いてませんけど?」
「・・・今言った」
「リズさん、勝手に俺を加えないでください・・」
「ちゃんと重要性を説明しただろ。誰にでも話せる事じゃないとも」
「そりゃそうですけどね。そしたら俺は毎冬ここに居なきゃならないんですか?」
「・・・・・」
「それは勘弁してください。俺は冬に温泉を楽しみたいんです!」
俺とリズさんの言い合いはしばらく続いたが、リズさんが1度ササリさんと相談してみると言う事で解散となった。
それにしても人の予定を勝手に決めるのは止めて欲しい。俺が温泉に行く事を伝えず出発していたらどうなっていた事か。
もしかしてロイがリズさんに必ず伝えろと言ったのはこれがあったからか?
流石ロイだな!
数日後、ササリさんから呼び出しを受けた。もちろんリズさんも一緒だ。
俺1人じゃササリさんのお店まで辿り着けないからね。看板も出てないし。
店内は相変わらず薄暗く、とても商売をしているようには見えなかった。
前回と違う事と言えばササリさんが椅子に座って待っていた事くらいかな。今日俺達が来る事を知っていたからだろうね。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
「今日来てもらったのは、リズから聞いてるだろうけどリーリンの花の採取の事だ」
「はい。俺は温泉に行く予定なので受けられないです」
「聞いてるよ。でもね、あたしとしてはあんたに受けて欲しいのさ」
「何故です?確かに誰にでも話せる事じゃないと思いますけど」
「1つは事情を知っていること。2つ目は収納ボックス持ちであること。今までで一番保存状態が良かったからね!」
「それならリザロが居ます。リズさん大好き兄なので秘密は絶対守ると思いますよ?」
「おいっ!?」
「ひゃひゃひゃっ!勿論リザロの事は知っているさ。でもね~、そこはリズがぐずるからね」
「ササリばあ!」
「何よりあんたのかまくらだよ!遠征が異常に楽になるって聞いてるよ。リズだけじゃなくガロからもね」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですけどね・・・」
「あんたが心配してるのは弟妹の事だろう?ロイとメルって言ったかい?」
「まあそれもありますけど、単純に俺が温泉に入りたいんですよ」
「だからね、時期が来たらザザの街から直接行ってくれないかい?その間子供達の事はシシー達が見るから」
「シシーさんですか?」
「シシーとメシーも温泉に行きたいそうだ。ロイとメルも預かってくれてるって言ってくれた。ついでにリザロも・・」
「リズさん・・」
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