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今日の朝ご飯は、肉の串焼きだ!というかほぼそれしか食べてない。街に行ったら調味料を買おう。せめて塩でもあればスープが作れるのにっ!デザートにはタルルという果物をつけよう。緑色で長細い見た目だが、味はバナナだな。
起きてきたロイとメルと一緒に食べる。
「ロイ、メル、俺はラットルで冒険者としてしばらくは働こうと思うんだが・・・」
頑張れ俺!!
「い、一緒に行かないか!」
言えた!が、何だこれ・・すげー恥ずかしい!多分顔赤くなってるぞ。
ロイは目を丸くしてこっちを見てるが、メルは串焼きに夢中だ・・尻尾がゆらゆら揺れて嬉しそうに齧り付いてる。
「いや、あの・・嫌ならいいんだぞ?」
なかなか返事がないからだんだん気落ちしてくる。
「・・の?」
「ん?」
「一緒に行ってもいいの?」
「もちろんだ!せっかく出会えたんだ、このままお別れじゃ寂しいだろう!」
そう言うとロイは、はにかんだ様に笑ってくれた。心なしか大きな猫目がウルウルしてる様に見えた。すっごい可愛い!!
「メルも一緒に行ってくれるか?」
まだお肉に夢中のメルに問いかけると肉汁でベタベタな顔を向けて
「いくー」
と言ってくれた。
ラットルに向けて出発する前にもう一度村の中を見て回る。ロイが取って来る物があると言ったからだ。正直残っている物があるのか疑問だ。
「リク兄、これ!」
ロイが小さな袋を持って戻ってきた。差し出された袋を開けてみると銀貨と銅貨が入っていた。これは、お金だよな?
「どうしたんだ?これ?」
「お父さんが魔物の素材を売ったお金を床下に隠してたんだ。必要な物ができたら買うために貯めてたんだよ」
「そっか。なら預かっとくよ」
床下に隠してたから焼失を免れたのだろう、数点の魔物の素材も一緒に渡された。
「よし!じゃあ、行こうか!!メルおいでー」
草原でコロコロ転がって遊んでたメルを呼ぶ。3人仲良く手を繋いで歩きだす。もちろんメルが真ん中だ。
「リク兄、僕も冒険者になりたい!」
「冒険者?」
「うん、若いころお父さんもお母さんも冒険者だったんだよ!いろんな場所に行って、すごく楽しかったって話してくれたんだ!だから僕も冒険者になりたいんだ!剣だってお父さんに習ってたんだよ!」
「そっかー。なら一緒に冒険者になろうか!」
「うんっ!」
そう言えばロイのスキルに剣術があったな。手持ちに剣はないから、ベルトに差しっぱなしだった大ぶりのナイフを渡しておこう。子供の手ならちょうどいいかもしれない。街を目指しながらレベル上げも行えば一石二鳥だな。俺が魔法で弱体化させてから止めを刺させればいいだろう。
お読みいただきありがとうございました。
 




