135
数メートル先に小高い山が見える。俺達は息を潜めてその物体を見つめている。小高い山の正体は座り込んでいるサイクロプスだ!
座った状態でも見上げなきゃ頭が見えないとは、立ち上がったらどうなるんだ?ずっと上を見上げていたから首が痛い。
サイクロプスよりトロールの方が遥かにデカいらしいが倒せるのかな?
作戦としては威力高めの魔法を一斉に打ち込んで、奴が錯乱しているうちに接近して皆で攻撃する。まだ気付かれていないし、図体がデカい分立ち上がるにも時間がかかるから速攻で片を付けようと言う事だ。
今目の前にいる奴の数メートル先にもう1体居るからだ。両方まとめて相手して戦力分散させるのは愚策だろうと言う意見が出ていた。
やっと俺にも出番が!!俺の手持ちで威力が高いとなると、太くした風刃か?座っているなら土槍でもいいかな?そっちの方が立ち上がるのを邪魔出来るかもしれないな?魔法使いのリーダーはリザロだ。一応聞いとこうか?
「リザロさん、俺は土槍であいつが立ち上がるのを邪魔しようかと思うんですけどいいですか?」
「あいつのデカさに対抗できるのか?」
「う~ん、そう言われると?」
「まあいい、やってみろ。あいつのデカさに比べればどの魔法だって影響は少ないだろうしな」
お許しも出た事ですし、早速準備だ!どこを狙ったら一番影響が出るだろうか?やっぱりお尻かな?足かな?様子を窺っていたら他の魔法使い達の準備が整ったようだ。既に詠唱が終わっている人もいるな。後は皆とタイミングを合わせて魔法を放つだけだ。
いよしっ!『土槍』『土槍』『土槍』俺はお尻に1本、両足の脹脛のあたりに1本ずつ太くした土槍を地面から突き刺した。
「ギャッーーーガギャーー・・・」
おおっ!?ちょっとは効果あったか?サイクロプスが痛みに悶絶している。
悶絶して動けない奴の顔に火の玉がいくつもぶつかって行く。一つだけ桁違いの大きさの火の玉があった!火と言うよりは炎だな!?
接近戦闘者達は魔法が放たれたと同時に走り出している。
おおっ!バリールさんが槍を投げた!あの槍伸縮できるらしいな?もう1本はそのまま突き刺しに行っている。他の人達もそれぞれの武器で切りかかっている。
うわっ!?あれシシーさんだよな!?飛び上がって首目がけて切りかかったぞ!!やっぱり獣人だから運動神経がいいのかな?凄い跳躍だったぞ!?
今ので勢いづいたのか他の人達がどんどん腕、足と切り落としにかかっている。
おおっ、誰かが心臓に剣を突き刺した!!よしっ、これで終いだな。
ドロップ品は俺が回収する予定だ。接近戦闘していた者と俺以外の魔法使いはすでに次のサイクロプスに向かっている。
ドロップ品は大量の肉と大きい魔石だった。普段よく倒している大熊の魔石より二回りは大きいだろうか?
お読みいただきありがとうございました。




