134 巨人ゾーン
明日には巨人ゾーンに入ると言う話があった。ここに来るまで8日かかっている。大人数で移動している分、ちょっと休憩して出発するだけで時間かかっちゃうんだよね。その間特に何事もなく順調に進んできている。魔物の襲撃は織り込み済みだから別としてだ。
しいて言うならリザロの小言が増えたくらいか?俺が薬草採取していると「早くしろ」だの「周りに気を配れ」だの言ってくる。俺としては気配察知などで魔物の位置も把握してるし、他の人達で対処できると分かっているんだが心配して言ってくれているのだろうし有り難く受け取っている。
だから「心配してくれてありがとう」って素直に言ったら、「心配などしていない!はぐれたら迷惑だからだ!」と言われた。素直じゃないんだからー、まったくぅ。ニヤニヤしてたら物凄い目で睨まれた!?
そろそろ巨人ゾーンに入ると言う事で、皆の緊張が高まってきている。今は先行部隊が様子見に出ているのを休憩しながら待っている所だ。
ここで復習しておこう。巨人ゾーンにはトロール(デカくて鈍い)、ミノタウロス(牛頭の武器持ち)、サイクロプス(一つ目巨人)が今のところ確認されている魔物だ。
「ガロ、戻って来たぞ!」
「戻ったか、どうだった?」
「500m先にサイクロプスを見つけた。2体だ」
「そうか。どちらにしろ避けては通れんな」
「そうだな。どこ進もうが出てくるんだから」
皆の覚悟とやる気が高まった所で出発する事になった。
いよいよか!巨人とか初めて見るな!不謹慎だがちょっと楽しみだ。
ん?今何か引っかかったぞ?俺はきょろきょろと辺りを見回す。消えた?おかしいな?ん?まただ!?
動かない俺を見てリザロが戻って来る。
「おい何しっ!?」
「伏せろっ!?」
「ぶっ!?」
何かか頭上を凄い勢いで通り過ぎた!?俺はタックルして倒したリザロの上から飛び退き辺りを窺う。上から来たって事は飛ぶ奴か?
俺の気配察知の範囲から出たのかなかなか捕捉出来ない。
来たっ!!俺は自分の周りに軽く竜巻を起こす。飛ぶ奴にはこれが有効だと空蜥蜴襲撃の時に実証済みだからな!
引っかかったか?起こした竜巻の中に何かが居るのが見えた。上手く巻き込まれてくれたようだ。しかし回転が速くて何か分からないな?
「どうした!?」
付いてこない俺達に気付いたのか皆が戻って来る。まあ、軽くでも竜巻起こせば気付くか。
そろそろいいかと思い、竜巻を上に放つ。数秒後何やら物体がドッシーンっと落ちてきた。
デカっ!?何だこれ?俺の身長よりはるかにデカいぞ!?羽があるって事は鳥か?しかもカラフル!!赤と黄色の斑模様だ。
「何だこれ?」
「斑大鳥じゃないの!」
へ~、斑大鳥って言うんだ?一応鑑定してみたが斑大鳥で間違いなかった。
リズさんが目を回しているうちに止めを刺す。ドロップ品には魔石の他にカラフルな羽が大量に出た。この羽には高値が付くらしい。
リズさんの説明では複数の色が混じっている大鳥の事を斑大鳥と言うそうだ。色の種類も色々だがカラフルな物が多い。そして、単一色のものを大鳥と言うそうだ。こちらは黒、茶色、灰色など若干地味目な色が多いらしい。
巨人ゾーンだからといって他の魔物が出ないと言う事はないんだよな。
こいつが出て来てくれたお陰で早めに気付けて良かった。そして高価な羽を大量にドロップしてくれてありがとうだ!何て良い奴なんだ!
お読みいただきありがとうございました。




